「大学全入時代」となった今、大学入試のトレンドはどうなっているのか。予備校御三家の入試担当者に話を聞いた。代々木ゼミナール入試情報センター統括本部長・坂口幸世、駿台予備学校情報センター長・石原賢一、河合塾教育情報部長・近藤治の3氏だ。

 近年のキーワードは、「理高文低」と「地元志向」。

 大学別の人気状況をみても、この二つの影響が色濃い。

 国公立大学全体の倍率は、実質約3倍。数年でみても比較的安定しているが、大学ごとにみると変動は大きい。

 今春の国立難関10大学(北大、東北大、東大、一橋大、東工大、名大、京大、阪大、神戸大、九大)の志願者数(前期日程)をみると、東工大が前年比111%で11ポイントも伸ばした。「センター試験の評価方法が変わった影響もある」(近藤氏)が、理系人気を裏付けた格好だ。

 対照的なのが一橋大で前年比96%で4ポイント落とした。2年前の前期日程では東工大と一橋大は、ほぼ同じ約3300人の志願者を集めたが、今春はその差が1千人以上開いた(河合塾調べ)。

「一橋大は二重苦。不人気の社会科学系の学部しかないうえに、東大を狙う受験生が最後まで強気で出願する傾向があるため、一橋大に流れてくる層が減った」(石原氏)

 また、志願者数が伸び悩む私大が少なくない中、人気を維持しているのが理系の単科大だ。

「首都圏でも千葉工業大、東京電機大、工学院大、東京工科大などの中堅大学の理工系は志願者が増えている」(石原氏)

※週刊朝日 2012年6月29日号