足の親指が小指側に曲がる外反母趾は、足の形に合わない靴がおもな悪化要因といわれ、女性に圧倒的に多い。重症化すると痛みで歩行困難になったり、年齢とともに変形が悪化したりすることもあるので、的確な治療や予防策の指導を受けることが大切だ。

 重度の外反母趾の場合、手術をすることもあるというが、慶応義塾大学病院の整形外科診療副部長・須田康文(やすのり)医師は「手術を検討する前に、まず保存療法に取り組んでほしい」と力説する。

「変形を治したい場合は手術以外に方法はありませんが、外反母趾の痛みは、適切な保存療法で解消するケースも多いです」(須田医師)

 外反母趾の保存療法には、靴のはき方や選び方の指導、装具療法、運動療法などがある。安静時も痛みがあるなど神経障害がおもな症状の人は、消炎鎮痛剤を用いる薬物療法になる。

 装具療法は外反母址変形そのものを矯正することはできないが、正しく使用すれば痛みの軽減や変形の悪化防止に効果が期待できる。しかし、費用面に難点があるという。

 聖マリアンナ医科大学病院の整形外科副部長・仁木久照医師はこういう。

「オーダーメードで作る足底板は、左右2枚で、実費で4万円以上かかります。健康保険を使うことができますが、製作は1年半に1回のみです。途中での作り直しや、替えがほしい場合は全額自己負担で購入することになります。装具の製作は個々人の足型や痛みのある箇所を見ながら細かく調整していく必要があるので、足を専門とする整形外科医を受診するといいでしょう」

※週刊朝日 2012年6月29日号