「30代目線」で地域をぐいぐい引っ張る若手市長が相次いで誕生している。2008年から09年にかけて現職市長最年少記録を塗り替えた、倉田哲郎・箕面市長(38)、山中光茂・松阪市長(36)、谷俊人・千葉市長(34)の3人だ。座談会を開き見えてきたのは、若い首長ならではの共通する感覚だった。

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倉田:この8月で初当選から4年がたちます。当時は最年少市長と騒がれましたが、5カ月後に山中さんが最年少になり、その5カ月後に熊谷さんが更新した。僕の年齢は今や下から12番目。「大丈夫か、日本?」って周りに言ったら、「お前が言うな」って。(笑い)

山中:でも、若いからできることってありますよね。

倉田:今の30代って、どこの企業でもすごく頑張ってますが、僕ら市長も民間と同じ労働密度で仕事をしている。年配の市長が、これだけの仕事量をこなすのは無理だと思います。

熊谷:60代、70代で同じことをやれと言われたら、弱気になっちゃうな。(笑い)

山中:石原慎太郎都知事は、週3日しか登庁しないというじゃないですか。(笑い)

倉田:そりゃあ、無理ですもんね。(笑い)

熊谷:首長経験者がもっと国政に出ればいいと思います。30代、40代の若い首長はたくさんいる。その中から必ず国政へ転身する人が出てくるでしょう。そういう人はぜひ応援したい。

山中:でも、ご自身は転出するつもりはないでしょ。

熊谷:全くないです。そんな先のことを考えたら、市政へのほとばしる思いに影響しちゃう。目の前の仕事だけを考えたい。

倉田:僕も国政は全く考えてない。もともと国家公務員として国にいて、国会を見てきて、国政よりも町づくりのほうに関心があった。だから僕は政治家を目指したわけじゃないんです。今、僕たち「市長さん」って呼ばれますよね。でも、たまに「先生」と呼ぶ人がいる。そう呼ばれると、「あ、そうか、政治家なんだっけ、俺」みたいな。(笑い)

山中:わかるわかる。

※週刊朝日 2012年6月29日号