■3月28日(水=283日目)
 睡眠が不安定だ。何しろ毎日9時間ちかく寝る決まりになっているので、深夜2時とかいう時間に目が覚めてしまい、そのまま寝付けないときもよくある。そういう日は、一日頭がボーッとしてしまう。

 なのに、刑務官からは「顔が険しいから、もっと愛想よくしろ!」とか言われるし。まあ、鈴木宗男さんも、笑顔は大事だと言っていたけどさあ。

『刑務所なう。』の版元である文藝春秋の担当編集Wは大学の同級生。同期のみんなの読後感想を送ってくれた! いやぁ感動した! なんか月並みだけど「持つべきものは友」だ!  んで、担当Sからもろもろの手紙が届く。オレがいなくなったこともあり、相変わらず忙しくて大変らしい。そのぶん「出てきたら可愛い子紹介しろ」だと(笑)。

 ああ"紹介だけ"ならいくらでも! ただ、そのあとは"実力"だけどな(笑)。

 そういえば口内炎は完治! これでじっくりメシが味わえる。

■3月29日(木)
 中高の同級生が、洋書で超デカい、アポロ11号やスペースシャトルの本を差し入れてくれた。が、私物バッグに入りきらないので、少しだけ見て宅下げ。

 友人N君が鶏をしめて来たらしい。実は私も数年前に静岡県の畜産試験場で体験した。じょうごの大きいのに鶏を逆さに入れて首を切ると暴れないから便利。

■3月30日(金)
 刑務所はネタの宝庫だ。一筋縄ではいかない人々の話をたくさん聞ける。

 市川海老蔵への傷害により収監されていた伊藤リオンが出所。そして、押尾学の収監がニュースになっていた。

 リオンはヨンピンか。ヨンピンってのは、刑務所用語で4分の1のことで、模範囚とかは懲役期間の満期から4分の1を残して仮釈放になったりする。真面目に勤めたんだな。優秀だ。

 そして、押尾学。果たして、押尾はどこへ収監されたのだろうか?

 国民新党連立離脱か。亀井静香とは意見がほとんど合わないが、彼は自分の意見はキッチリ通すな。

■3月31日(土)
 夜中、別の部屋で暴れる人がいてよく寝れず......。

 今日は、4月の花が届いた。チューリップだ。部屋の雰囲気が和らぐなあ。で、チューリップが届いたというのに、まだ雪が降ったりしている。もう、明日から4月なのに、なんだこれ。

■4月2日(月)
 今日から手袋なしで出役。気温が、ずいぶん暖かくなった。4月は季節柄か異動が多い。入所して半分くらいの人が入れ替わった気がする。

 スタッフから、ツイッターのタイムラインやリプライをプリントアウトして送ってもらっているのだが、そのなかに「縦書きの便箋を90度傾けて横で書けばいい」との意見があった。

 だけど、刑務所はそういうイレギュラーな手法は認められない可能性が高い。そんなことをして書き直しにでもなったら、手紙が届くのが1週間ずれるからリスク高し!

※週刊朝日 2012年6月22日号