人気お笑い芸人・次長課長の河本準一(37)の謝罪会見で問題は収束するかのようにみえた生活保護受給騒動。もはや戦線は拡大し、芸能界のあちらこちらで火の手が上がっている。そこには、庶民の心を代弁する「正義」がある一方、どこか「イヤーな感じ」が......。(【1】から続く)

 河本問題を追及し、一気に"時の人"となった自民党の片山さつき参院議員。この問題でメディアに出ずっぱりの彼女は、いまや「ナマポ」追及の急先鋒とされているが、同時に批判の声も大きくなってきている。

 一連の騒動をよく見ると、片山氏の発言を端緒にネットが盛り上がり、虚実ないまぜに〝発火″しているのがわかる。

「報道ステーションSUNDAY」(テレビ朝日系、5月27日放送)で、片山氏はハンカチを頬に添えて、「河本さんと仲の良い千原せいじさんという同じ事務所の方が、番組で一方的に私たちを批判した上に、『片山の夫の会社を潰す』っていうことを公共の電波でおっしゃって......」と「脅迫」があったことを訴えた。実際、この千原発言に反応した一般人から脅しめいた言葉を浴びせられたこともあったという。

 これにネットが反応し、〈片山さんに対して、メディアや様々な組織から酷い批判や嫌がらせがあるのは恐ろしいです〉
〈千原は脅迫容疑で逮捕や! 片山は正しい〉
 などと一気に過熟した。

 しかし、実際は若干ニュアンスが違う。実際の千原発言は、出演していたテレビ番組の画面が切り替わる直前、千原が雑談のような形で、「えっ、旦那さん、けっこうデカい会社潰してたん――」と口にしたものだ。語尾は聞き取りにくいものの、「潰す」という脅しのニュアンスはない。それがネット上で「千原が片山さつきを脅迫」と歪曲されて流れ、片山氏の発言でいっそう話が独り歩きした形だ。

「片山さんはネット上の"味方"が多く、主張している内容もネットが主なソースと思われるものが多い。実は、千原の件のように、片山さんの"勘違い"や"早とちり"の情報がネットの怒りを煽り立てて、騒動が余計に複雑になっている側面もあるんです」

 そうため息をつくのは、ある吉本関係者だ。

※週刊朝日 2012年6月15日号