4月23日、京都府亀岡市で集団登校中の小学生ら10人が軽乗用車にはねられ死傷した事故で、京都地検は5月14日、事故を起こした無職少年(18)を自動車運転過失致死傷と道路交通法違反(無免許運転)の非行内容で京都家裁に送致した。

 自動車運転過失致死傷罪の法定刑は7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金。自覚的に無免許運転を続けながら、なぜ「過失」なのか。

 共著に『危険運転致死傷罪の総合的研究』がある弁護士の高山俊吉氏が語る。

「危険運転致死傷罪の適用は、具体的な運転時の行動に着目して考えます。免許の有無や、事故を起こして逃げたかどうかは基本的に関係ない。無免許やひき逃げは、別に処罰規定がある」

 亀岡の事故では少年が無免許だったため、地検や府警は危険運転致死傷罪の構成要件のうち、「運転技能を持たない」という項目について適用を検討したが、

「無免許運転を繰り返していた場合、かえって運転技能が備わっていると見られる可能性もある」(高山氏)

 また高山氏は、こう言い切る。

「危険運転致死傷罪は、ある種の欠陥法ですよ。例えば『正常な運転が困難』とは? 『殊更な』信号無視とは? いずれも曖昧です。厳罰化の流れの中で、立法段階で慎重とはとても言えない論議が行われた結果です。小さな修正で何とかなる代物とは思えませんね」

週刊朝日 2012年6月1日