会社側の業績予想には、業界や個別企業に特有の「クセ」があることはあまり知られていない。この業績予想と結果の長期傾向を見れば、クセや業界の動向が浮かび上がり、投資だけでなく、業界分析に役に立つという。

 これをもとに新たな企業指標を設け、金融情報会社T&Cフィナンシャルリサーチに計算してもらった。

 新指標は、日経平均の算出に使われる東証1部上場の225社について、過去10年間の「会社予想」と「結果」を比較したものだ。これらの会社について、結果が会社予想を上回る、つまり自分が当初予想したよりも高い業績を上げられたら「勝ち」、低い業績なら「負け」とし、「勝率」を計算した。すると、資源の高騰で笑いが止まらないような状態の業界が見えてきた。

「資源の高騰は、会社経営に影響を与える大きな要素のひとつです。高騰で多大な損失を被る企業は多いのですが、一方で業績にプラスに働く企業もあります。石油関連の企業や資源ビジネスに強い会社です」(東レ経営研究所の増田貴司チーフ・エコノミスト)

 前者は石油元売りの国際石油開発帝石やJXホールディングスで、どちらも全勝。後者は勝率80~90%の豊田通商や丸紅などの商社が挙げられる。

「特に商社はいまや一種の投資銀行のようになっていて、流通から資源、不動産にブランド関係まで、ビジネスの対象を大きく広げている。これからまだまだ伸びるでしょう」(経済誌編集委員)

※週刊朝日 2012年6月1日号