福井県、大飯原発の再稼働問題。原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏は、関西電力が出した今夏の電力需給の見積もりについて、疑問を呈する。「関西地方は原発ゼロでも真夏に電力不足は起こらない」と断言して、こう言う。

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 昨年、私は週刊朝日の連載誌上で、日本の電力会社すべて、原発ゼロでも電力不足にならないことを実証したが、おかしなことに、今年に入ってから、福井県の大飯原発を再稼働させようと目論む関西電力(関電)が、「2012年夏に2010年並みの猛暑であれば、原発ゼロの場合に25%の電力不足が起こる」と主張して、これをいい加減な経済関連記者が引用して、電力不足を煽(あお)り立ててきた。

 しかしこの数字は、関電が流してきたデマである。原発資産を守りたいがために、関電は無理やり夏の電力不足予測を作り出している。その嘘にだまされてはいけない。

 そもそも25%の電力不足というデマを飛ばしてきた関電の化けの皮がはがれて、3月12日に関電が出した「第2回大阪府市エネルギー戦略会議ご説明資料」では13.9%不足に激減した。このように数字が減るのを見るだけで関電が詐欺師であることは明確だ。この計算には、真夏の最大電力需要の想定にその詐欺の手口が潜んでいた。昨年夏に関電が想定した最大電力需要は、3037万キロワット(kW)であった。しかしこの数字は、関西でも気温が42℃を超えるというトテツモナイ嘘を元にはじき出された数字であって、実際に、関電管内での2011年夏の最大電力需要は、大阪市で35.6℃となった8月9日の2784万kWでしかなかった。3037-2784=253万kWも過大に電力需要を見積もって、消費者に脅しをかけたのだ。関電が再稼働しようとしている大飯原発3・4号機は、118万kW×2基=236万kWなのだから、どれほど悪質な最大電力需要の想定をしてきたかが分る。

※週刊朝日 2012年4月27日号