今夏のロンドン五輪出場を目指し、目下、激しいトレーニングに励む、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の"しずちゃん"こと山崎静代(33)。人気タレントの五輪挑戦とあって世間の大きな注目を浴びる彼女だが、実は、その体は"爆弾"を抱えていた。頭部のMRI検査で脳に「影」が見つかっていたのだ。

 4月5日夕、都内のとある繁華街にあるボクシングジムから、練習を終えたしずちゃんが出てきた。野球帽を目深にかぶり、エメラルドグリーンのブルゾンに黒のジャージー姿。182センチの長身で、うつむき加減で歩く彼女に気づく人はいない。

 記者が背後から声をかけると、しずちゃんはゆっくりと振り向いた。化粧はしておらず、減量で頬はこけ、はれぼったい右目の下には、くっきりと青あざがあった。テレビで見ていたタレント「しずちゃん」ではなく、まさにストイックなボクサーの顔つきだった。

 そして、本誌がつかんだ「事実」を突きつけると、少し驚いた表情で、こんな言葉を口にした。

「これ、記事にするんですか。みんなに言わないできたことなのに……」

 実は、数カ月前からボクシング関係者の間でこんな話が囁かれていた。

「しずちゃんが、頭部の検査で異常が見つかったようだ。医師も難色を示しているらしい。なのに、試合に出てボコられているのはマズいんじゃないか」

 頭部の異常――これまで多くのボクサーが直面した問題を、しずちゃんもまた、抱えているというのだ。

 取材を続けると、それを裏付ける証言が次々と出てきた。あるボクシング関係者が声を潜めて語る。

「その話は事実です。彼女は当初、プロボクサーを目指して練習をしていたのですが、プロのライセンスを取得するには、病院で検査を受け、健康面の問題がないかチェックしないといけない。2010年の春、その検査を受けた際、脳に異常が見つかったのです」

 殴り合いという危険なスポーツだけに、ボクシングはプロ・アマともに、健康管理には厳格なルールがある。女子ボクシング五輪代表を目指すしずちゃんは今、正念場に立っている。

※週刊朝日 2012年4月20日号