半導体市場の分析を専門とするマーケットアナリストのフェルディナント・ヤマグチ氏は、医療界で4月からある"協定"が施行されると話す。その中身とは……。

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 高額頻繁一部桃色でその名も高かった"医者への接待"ですが、何とその上限額が一人頭5千円に制限されるというのです。一回の接待で医者は3人、薬屋側は2人の総勢5人まで、つまり一回の接待は2万5千円まで、と総量規制まで掛けられるのですから抜け目がありません。(多くの企業が実践している)人数を多めに改竄しての誤魔化し清算もできないのです。

 ドクター諸公もさることながら、もっと青くなっているのは飲食店でして、「ウチはお医者様が多いからぁ」などと呑気に構えていたクラブなどは、冗談ではなく存亡の危機に立たされています。中には寿司屋などと提携して領収書の相互融通をしている店も実存しますが、果たしてどこまで通用するのでしょう。

"薬の説明会"と称する昼の弁当代は一人頭3千円。こちらは看護師等を含めた医院の人数分出すことができますから、極端な話、30人で9万円の領収書を切ることも可能ですが、それでも銀座、六本木の"座って5万"のクラブに行くことはできません。家族や愛人の看護婦さんと食事に行った支払いを製薬会社に付け回すことも、これからは無論難しくなります。

 ドクターのみなさま、誠にご愁傷様です。60歳前後の"逃げ切り組"のみなさま、おめでとうございます。医大に落ち続けて、遂には進路変更なさったご子息の無念も、これで少しは晴らされることでしょう。

※週刊朝日 2012年3月30日号