「和のコンシェルジュ」を名乗る、現役女子大学院生の矢島里佳さん(23)。彼女が表参道の展示会で心を奪われたのは、漆器の一つである「秀衡塗」の小物入れや髪留めだった。秀衡塗の起源は、平泉の文化遺産と関係があるとか。制作者の佐々木優弥さん(33)に矢島さんが話を聞いた。

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 佐々木さんは22歳で一念発起。大学の国際政治経済学部に入学し、勉強に励んだそうです。しかし、商売を知るために就職をしようとした矢先、お父様が急死され、後を継ぐことになりました。

「師匠がいなかったので、とにかく様々な作品を見続けました。でも最も勉強になったのは、自宅である"佐々木家宝物館"かな(笑)。先祖代々の作品が置いてある部屋なのですが、ここに座って瞑想すると、インスピレーションが降りてくるんです」(優弥さん)

 私が惚れたこけしの小物入れ「玉小箱」の着想も、ここで得たそうです。優弥さんのご先祖様が作ったこけしがついた器からインスピレーションを得て生まれた玉小箱。その愛らしさから、若い世代の心をとらえています。私は、ニット帽付きの玉小箱を愛用中です。

※週刊朝日 2012年3月23日号