震災後、脱原発を宣言し、活動家としての行動が話題の俳優・山本太郎氏。彼が原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏と対談を行った。広瀬氏は"後輩"山本氏に熱いエールを送った。

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広瀬:山本さんの『ひとり舞台 脱原発―闘う役者の真実』(集英社)の表紙は、中間貯蔵施設があるドイツのゴアレーベンで撮影したものですね。

山本:ええ、脱原発を宣言して、市民運動が進んでいるドイツを実際に見てみようと、昨年11月に行きました。みんなで踊ったり、炊き出しのおいしいものを食べたり、お祭りですね。今日のデートはデモに行こうか、という感じで若い人が集まってくるんです。

広瀬:日本でも、昨年4月の高円寺の反原発デモなどを見ると、お母さんたちが大勢参加して、自発的で、新鮮で嬉しかったです。

山本:そう思いますね。ドイツの後に、独裁体制が続いているベラルーシに行ったのですが、もう雰囲気がぜんぜん違う。デモの届け出すらできなくて、声を出してアピールすると、逮捕されてしまうそうです。これから日本がドイツになるのか、ベラルーシに向かうのか。日本で頑張らなあかんな、と思った旅でした。

広瀬:山本さんがゴアレーベンで、線路に寝る放射性廃棄物輸送の抗議行動にも参加していましたね。昔から、僕もやりたくてね。だから、ここまで行ってやったのか、と嬉しかった。

山本:非暴力直接行動を取り締まる警察もリベラルでした。でも、ドイツの抗議行動を日本でやったら、とんでもなく話題になるでしょうね。いろんな市民運動に合流して、メディアに過激な行動のように報じられることもあるのですが、ドイツを基準にすると、ぜんぜん過激じゃないですよ。

※週刊朝日 2012年3月23日号