ジャーナリスト・田原総一朗氏は、左手に六本木ヒルズがそびえ、右手に東京ミッドタウンを仰ぐ、東京・六本木のど真ん中にあるシェアハウスを訪ねた。
住人は早大卒で、大手広告代理店博報堂を2年で辞めた、自称"ニート"の高木新平さん。自分も含めて4人でこのマンションの3DKを借りている。なぜ、一流企業を辞めてシェアハウスに住むのだろうか。田原氏は理由をこう語る。
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彼らが一流企業を辞めたのは、管理する、されることにエネルギーを費やすのが嫌だったからなのである。
そしてシェアハウスが新しい共同体をつなぐ拠点になっているのだという。高木は、私が訪ねたとき、すでに2千人以上がこのシェアハウスに来て、ディスカッションやイベント、さらに商談の場にもなっているのだと言った。
もう一つ、若い世代には共通点がある。彼らはいずれもソーシャルビジネスを行っている。バングラデシュやカンボジア、あるいは国内の児童養護施設などとかかわっていて、救助、援助よりも一段進んだNPO、NGOを発展させたソーシャルビジネス、つまり社会のため、貧しい国の人々のために役に立つビジネスを展開しているのである。
若い世代に、社会のために役に立ちたいという意識が深まっているのは、私のような年寄りにとっては貴重な発見であった。
※週刊朝日 2012年3月23日号