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陸山会裁判 「嘘」にまみれた報告書の中身

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 小沢一郎・元民主党代表(69)の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件。裁判が行われ、検察官役の指定弁護士は3月9日、小沢元代表に「元秘書らとの共謀は十分に成立する」として禁錮3年を求刑した。だが、立証の柱だった検察官調書の大半は却下され、論告の中身はスカスカ。

 3時間半に及ぶ長い論告の間、小沢弁護団の弘中惇一郎弁護士は何度も怪訝(けげん)そうに首をひねっていた。

「指定弁護士から明確な言葉があるのかと思っていたんですが、どうもスッキリしませんでしたね。パーツによっては(信用性に疑問のある)検察官調書が全面的に引用されてましたし」

 公判後の記者会見では、そう違和感を口にした。

 それはそうだろう。この日、検察官役の指定弁護士は小沢氏に対し、「規範意識が鈍磨しており、再犯の恐れは大きい」と禁錮3年を求刑したものの、その中身は推測や間接証拠ばかり。共謀について具体的な日時も場所も動機も何も立証できていない。

 もっとも、指定弁護士側が苦しいのもよくわかる。東京地裁の大善文男裁判長は、論告に先立つ2月17日、指定弁護士が証拠として請求した調書42通のうち、小沢氏の関与を認める供述をした元秘書、石川知裕衆院議員(38)の調書を含む29通をすべて、あるいは部分的に却下した。唯一の直接証拠を失い、有罪立証の柱がなくなってしまったのだ。

 地裁は調書の証拠能力について、「強力な利益誘導があり、虚偽供述に導く危険性の高い取り調べだった」「献金の受領や小沢氏関与の供述を得るための圧力は、組織的なものだったともうかがわれる」などと強い口調で批判した。検察の捜査手法が問われているのである。

 決め手となったのは、当時、東京地検特捜部検事だった田代政弘検事(45)の捜査報告書"捏造"疑惑だ。小沢氏を巡る検察審査会の「起訴相当」議決を受けて、保釈後の石川議員を再聴取した際(2010年5月)、実際にはなかったやりとりを書いていた。

 週刊朝日では、入手した問題の田代検事の報告書全文を、当の本人である石川議員に見てもらった。小沢氏への報告・了承を巡るこのくだりだ。

〈私(石川議員)が、「収支報告書の記載や定期預金担保貸付については、私自身の判断と責任で行ったことで、小沢先生は一切関係ありません。」などと言い張っていたら、検事から、「貴方は11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。そのほとんどは、貴方が小沢一郎の秘書だったという理由で投票したのではなく、石川知裕という候補者個人に期待して国政に送り出したはずですよ。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るために嘘をつくのと同じようなことをしていたら、貴方を支持した選挙民を裏切ることになりますよ。」って言われちゃったんですよね。

 これは結構効いたんですよ。それで堪えきれなくなって、小沢先生に報告しました、了承も得ました、定期預金担保貸付もちゃんと説明して了承を得ましたって話したんですよね〉

 ペラペラとしゃべっている印象だが、驚いたことにこのくだりはまったくないと、石川議員はいう。

※週刊朝日 2012年3月23日号


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