関西発の番組の司会やニュース解説で活躍中の辛坊治郎氏。今から20年ほど前に他界した父の年金納付記録が消滅していたことに端を発し、日本の年金制度に興味を持ったという。

 橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が掲げる、年金制度改革について、辛坊氏はこう話す。

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 先日、大阪維新の会が「船中八策」と称する、目指すべき政治の基本骨格を示した。この中で、年金については、「積み立て方式」と「掛け捨て方式」を併用すると宣言している。

 自分の払った掛け金を将来自分で手にする積み立て方式は、年金の基本思想であるべきだと私も思う。しかし、これも実際の制度設計は難しい。今ある年金積立金総額は、現在の高齢者が毎年受け取っている年金の3年分くらいにしかならない。つまり、現役世代が払い込む掛け金を将来の本人の積み立てに回してしまえば、現在の年金は3年ほどで支払い原資を失ってしまうのだ。

 この事態は、現在の高齢者にとってはもちろん、間もなく受給世代になる40代、50代にとっても破滅的だ。その支給を税で賄おうとすれば、消費税に換算して20%ほどが必要で、これは全く現実的ではない。

※週刊朝日 2012年3月9日号