夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんが、マザコンについて語っている。日本というのは家族や地域にある程度依存して生きるのが生きやすい土壌でもあるため、マザコンが存在するのはしかたがないことだと池内さん。ご本人は、ファザコンであり、マザコンでもあると言うが、「正しいマザコン」とは一体何か? 話はあの有名人から始まる。

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 昨今では、ビートたけしは母親が亡くなったとき堂々と「俺はマザコンだ」と公言している。彼は正しいマザコンである。正しさは、大切な母親が亡くなったことを悲しむことのできる正しさであり、母親をおいて好き放題生きたわが身を反省し、もっと何かしてやれたのではないか後悔し、母が亡くなったのは自分への罰ではないかとすら責めの思いを抱え、大切な存在を失ったことを悲しむことのできる正しい心理プロセスを持っている。

 正しくないマザコンもある。忌むべき共依存は、ママや妻がいなければ何も決められない大臣だったり、一国の総理大臣となった後でもママからお小遣いをもらい続ける男性たちのことだ。いわく言い難いものがある。

 もしもあなたが女性から「マザコン」と責められたときには、どちらのタイプか考えてほしい。

※週刊朝日 2012年3月9日号