グーグルが新しいプライバシーポリシー(個人情報保護指針)を3月1日から適用する。グーグル側に言わせると、各種サービスを利用する人の個人情報を集約し、横断的に使うことで一人ひとりのニーズに合う情報を提供するということなのだが、グーグルに限らず、個人情報を集めている企業はあり、問題点が指摘されている。

 セキュリティー問題に詳しい産業技術総合研究所の高木浩光氏は言う。

「IT企業は端末の個別識別番号とともに、その人の趣味や嗜好に関する情報をどんどん集めようとしています。その結果、本人も知らないまま、ある人物像が作られてしまっているのです」

 高木氏によれば、端末の識別番号や趣味、嗜好は、単体では個人を特定できないので、個人情報保護法も適用されない。情報を奪われない方法はないのか。ITセキュリティーライターの三上洋氏はこう話す。

「入力する必要がない情報は、極力入れないということに尽きます。本当に入力が必要な情報なのか、それが漏れた場合、どのような影響があるのかを常に意識するといいでしょう。同じサービスを使うなら、よりセキュリティーに気を配っている企業を選ぶことが大切です」

 ITやネットビジネスに詳しい藤井総弁護士もこう指摘する。

「Gメールなどは一度使うとログインしたままの人が多い。ログインせずに使える機能は、ログアウトして使うことです。メールサービスはグーグル、検索はヤフーというように会社を変えたり、同じ会社でもアカウントを複数使い分けたりすることで、情報を横断的に集められないようにするのも有効です」

 無料のサービスを使う以上、利用者は何らかの"対価"を支払わされている。

「タダより高いものはない」。古典的なこの言葉は、ネット空間にも当てはまるのだ。

※週刊朝日 2012年3月9日号