皇太子さまは2月23日、52歳の誕生日を迎えた。50代といえば、まさに社会の中核を担う年齢だ。作家の石田衣良氏、元総務大臣の原口一博氏、俳優の渡辺謙氏、ワタミ会長の渡辺美樹氏など政財界や芸術の世界で活躍する同学年の人たちは多い。

 だが、誕生日会見の発言を見る限り、いまだに確固とした公務観は確立されていないようだ。会見で公務観を問われた皇太子さまは、「天皇陛下をお助けし、改めて更なる研鑽を積まなければならないとの思いを強くいたしました」と答えた。

「研鑽を積む」という言葉は50歳の誕生日から3年連続での登場だが、50代の人たちに求められる「社会を支え、若い人たちを引っ張る」という役割を考えると、引っかかりを感じる人もいるのではないか。ある宮内庁幹部は、いまの天皇陛下が皇太子だったころの言葉と今回の会見を見比べてこう嘆く。

「陛下は皇太子だったころも率直に思いを語り、印象に残る言葉を多く残されました。いまの皇太子さまの会見やお言葉からは、ご自身の中からわき出るような思いが感じられません」

 いまの皇太子さまの心の多くを占めるのは、やはり雅子さま愛子さまのことのようだ。

 誕生日会見で13回登場した「雅子」という言葉の大半は、病状の説明など触れざるを得ない流れの中で出てくる。一方で、東日本大震災に触れたくだりで、被災した東北3県を「雅子と共に訪れ」たと強調し、「雅子と共に、これからも常に被災された方々と被災地に思いを寄せ、その復興を見守っていきたい」と締めくくるなど、意識的に雅子さまの存在を強調したように見える部分も散見された。

※週刊朝日 2012年3月9日号