千年に一度の大震災、歴史的な円高、タイの大洪水、そして欧州金融危機。二重苦、三重苦どころか四重、五重に苦しんだニッポン。

 ところが、いま株式市場はバラ色に包まれている。日経平均は今年に入って一本調子で上昇。2月17日には半年ぶりに一時9400円を回復した。

 この勢いが続くとすれば、何を買えばいいのか。専門家によれば、注目すべき点のひとつに「V字回復」というものがある。

 強気に傾いた投資家が早くも関心を寄せているのが、来年度の業績。ゴールドマン・サックス証券の試算によると、東証1部上場企業の経常利益は来年度、前年比15.3%増まで大幅回復する。

 T&Cフィナンシャルリサーチの本吉亮・日本株情報部マネージャーが言う。

「来年度は震災やタイの洪水の影響がなくなり、業績は大幅に回復します。これらの影響を大きく受けて業績が悪化した製造業中心に株価は反発するでしょう」

 来年度の連結経常利益が大幅に回復する銘柄を、増額幅が大きい順に並べると、その筆頭は自動車だ。

 岡三証券の石黒英之・日本株情報グループ長が言う。

「米景気が強いのも追い風です。中でも注目は日産自動車。収益力は他社を抜いています。リーマンショック前の07年度と今年度を経常利益で比べると、日産は60%までに回復するのに、ホンダ30%、トヨタ自動車10%にとどまっています」

※週刊朝日 2012年3月2日号