輸出企業が総崩れ――。2月14日、バレンタインデーに出そろった日本企業の昨年4~12月期決算は総じて厳しいものだった。日常的な活動による儲けを示す連結経常利益は全産業で前年同期比20%の大幅減。基幹産業の製造業は同30.5%減と、想定以上の落ち込みとなった。

 千年に一度の大震災、歴史的な円高、タイの大洪水、そして欧州金融危機。二重苦、三重苦どころか四重、五重に苦しんだニッポン。逆風下で企業がはじき出した数字は哀れなものだった。

 ところが、である。

 いま株式市場はバラ色に包まれている。日経平均は今年に入って一本調子で上昇。2月17日には半年ぶりに一時9400円を回復した。まるで一足早い春が到来しているようである。SMBCフレンド証券の中西文行氏が解説する。

「空前の『金融相場』の到来です。米国、欧州、日本と世界のGDP(国内総生産)の6割を占める国が金融緩和をしています。これは史上初。日経平均が年内にリーマンショック前の直近の高値1万8千円に迫る可能性もある。バブルの再来、『バブルへGO』ですよ」

 金融相場とは、世の中にあふれたお金が株式市場に向かっている状況をいう。

 潮目を変えたのは、欧州で昨年12月に実施された約5千億ユーロ(約50兆円)という巨額の資金供給。金融機関向けに返済までの期間が長い貸し出しをして、世の中にこれだけのお金を一気に注ぎ込んだわけだ。2月末にも同規模の供給を実施すると言われている。一昨年の米国の6千億ドル(約47兆円)を上回る規模だ。2月14日には日本銀行も追随すると決めた。日米欧そろって、お金をジャブジャブ流し始めたのだ。

※週刊朝日 2012年3月2日号