2月18日に行われた天皇陛下の心臓バイパス手術は無事に成功。早ければ3月上旬にも、公務復帰がかなうという。一見、つつがなく過ぎた手術だが、その舞台裏には世界最高峰の技術を持つ医師たちの奮闘や、美智子さまの献身的な支えなどがあった。

「気持ちいい」

 2月18日午後5時すぎ、心臓冠動脈のバイパス手術を無事に終えた天皇陛下は、お見舞いに訪れた美智子さまに左手、長女・黒田清子さんに右手をさすられると、こうつぶやいたという。

 この日午前11時1分に始まった天皇陛下の手術は、途中で不整脈の症状が出たものの大事には至らず、午後2時57分に終わった。ほとんど出血せず無輸血で行われ、予定どおり2本の冠動脈に左右の内胸動脈をつなぐことに成功した。麻酔から目覚めた天皇陛下に、麻酔科医が「ご気分はいかがですか」と尋ねると、かすれた声で「大丈夫。いい」とうなずいたという。

 午後3時55分、天皇陛下は手術室から集中治療室(ICU)に移った。見舞った美智子さまが、「手術がうまくいってようございました」と声を掛けると、ベッドに横たわる天皇陛下はうん、うんというように首を縦に振ってみせた。近くにいた医師団の小野稔・東大教授(心臓外科)は、「陛下は『問題ないよ』と言われているように見えました」と明かす。

 ICUを去る間際、美智子さまは天皇陛下に、「また明日参ります。お体を大事にしてください」と体調を気遣い、天皇陛下は、「ありがとう」と返事をしたという。

「本当にほのぼのしたお姿を見せて頂いたと感じております」(小野氏)

※週刊朝日 2012年3月2日号