厚生労働省が職場にはびこるパワーハラスメントを防止しようと検討を始めている。パワハラかそうでないかの線引きは難しい問題だが、まずはあなたの感覚をチェックしてみよう。日本労働弁護団・小川英郎弁護士監修のこれらの事例、あなたはパワハラだと思いますか? 

【上司編】
Q1:部下が、以前教えたことなのに何度も「教えてください」と頭を下げてくる。教育のために「この前教えただろ。自分で考えろ」と突き放した。

Q2:直属の5人の部下全員が毎週「おごってください」とねだってくる。家計が厳しく断っているものの、しつこく「おごってください」とせがまれ困っている。

【部下編】
Q3:入社して3年。一通りの仕事はできるようになったと思う。それなのに、上司は誰にでもできる単純な仕事しかやらせてくれない。

Q4:会社の飲み会に、私だけ呼んでもらえない。

回答は以下の通り。(○=パワハラ、△=状況によってはパワハラ、×=パワハラではない)

A1:× 
最初から一度も教えずに突き放したのであれば、パワハラになる可能性があります。しかし、主体的に仕事ができるように教育するため、こうした対応を1、2回した程度であれば、パワハラにはあたりません。

A2:△ 
ねだられているだけならパワハラにはあたりません。しかし、5人の部下が、おごらなかった翌週だけ仕事をサボるなどして、上司を精神的に追いつめていた場合、部下から上司に対するパワハラといえる可能性があります。

A3:△ 
理由と職場の状況によります。能力は劣っていないのに、意図的に単純な仕事ばかりさせられているという差別の要素があると、パワハラになります。

A4:○ 
1人だけ仲間はずれにされているのであれば、パワハラにあたる可能性が高くなります。ただ、以前に「飲み会は嫌いなので」と断ったことがあり、誘われなくなったという場合、パワハラにはあたりません。

※週刊朝日 2012年2月24日号