関東大震災後、日本文化の宝庫と呼ばれた東京帝国大学図書館が全焼する一方、早稲田大学の図書館は奇跡的に残った。早大教授で作家・評論家の坪内逍遥は、「週刊朝日」9月23日発行号で「今後の日本」を予想し、苦言を呈していた。

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 近い未來は大阪が中央首都の働きをするだろうと考へてゐる人たちが多い。けれども、經濟上の事だけを別とすると、それは頗(すこぶ)る疑問である。文華を中央に集中するの弊を一擧(いっきょ)に打破した方が有益だらうと思ふ。餘りに廣くもない大阪市に、さう大勢が鼻突き合せて、而も同じやうな、或は全く同じい仕事に従事してどうしやうといふのだ?

※週刊朝日2012年2月24日号


週刊朝日