1月末に各メディアが一斉に伝えた民主党の「極秘」年金試算。これを見たニュースキャスターの辛坊治郎氏は、思わず「これは酷い」とつぶやいてしまったと言う。

 民主党の年金試算から読み取れるのは、新年金制度の対象になるのは2016年に年金に加入する新成人からで、新制度が完成するのは、それから45年後の2060年代だということ。

 つまり、現在の高齢者はおろか、年金未納が問題になっている20代、30代の若者すら救済の対象にならず、喫緊の課題である低年金及び無年金問題解決には何の役にも立たないプランになっている。なぜ、このような試算になってしまったのか。

「試算したのは厚生労働省の年金官僚だが、この官僚群に試算を命じた民主党担当者に年金の知識が乏しく、その『無知』に、現行制度を死守したい年金官僚が付け込んで、全く現状の問題解決につながらないプランをわざと出してきたのだと思う。政治家が無能だと官僚に付け込まれる典型的な例といえよう」(辛坊氏)

※週刊朝日2012年2月24日号