1月25日夜、東京都渋谷区道玄坂の路上にうずくまっていた少年3人が病院に搬送された。救急隊員によれば、「少年たちは嘔吐して目がうつろ。典型的な薬物中毒の症状だった」という。少年たちは調べに対し、「近くのハーブ店で手に入れて吸った」と話したことから、警視庁は翌日、渋谷区内のハーブ店を傷害容疑で捜索した。

 少年たちが吸引したのはいわゆる"脱法ハーブ"。「ハーブの葉に興奮作用のある物質を混ぜていて、規制の対象外だが、依存性の高い薬物と変わりない」と薬物依存者を支援する団体の幹部は解説する。

 現場近くのハーブ店を訪ねてみると、ガラスの陳列棚に小さな袋に小分けされたハーブが並んでおり、3グラム7千円と高価な印象だ。店員に薦められた袋を手に取り嗅いでみると、臭いが鼻を突く。事件の影響からか、店頭には「幻覚作用に注意!」のパネルが掲げられていた。

 依存するとバッドトリップによるうつ病など、深刻な事態も引き起こすという。ハーブの名を借りたドラッグ、その危険性を察知してか、厚労省は事件から2日後という早い段階で、省令を改正して脱法ハーブを規制・摘発する方針を固めた。

※週刊朝日 2012年2月17日号