「自分は肉体労働しています。実家は田舎で、いまだに野うさぎとかいますよ」

 その背中の匂いが気になるのか、うさぎがケージ越しに匂いを嗅いでいた。

 犬の参加する合コンもある。東京・大塚の古民家を利用した犬カフェ「いぬのじかん」では、8匹の犬が合コンを盛り上げる。犬はカフェのオーナー岩部明美さんのペットだ。

「私の本業はイラストレーターで、古民家は仕事場も兼ねているので、すべて完全予約制にしています」

 7畳間に、机とテレビとパソコン。そこにシーズー、フレンチブルドッグ、プードル、カニンヘンダックスなど人懐こい犬たちがいて、手をベロベロと舐めたり、参加者のひざに乗ったりする。触れ合いも濃密で、犬好きにはたまらない。岩部さんによると、一昨年以来、この11月まで17回合コンを開いて、カップルが12組成立したという。リピーターも多く、ゴールインしそうなカップルも誕生しているという。

「昨年夏にここで出会った30代の男女が年末に、真剣交際していると、菓子折りを持って報告にきました」

 その女性に連絡を取ると、弾んだ声が返ってきた。

「彼はすごく毛深くて、合コンのときには隣に座った男性が、彼の『腕毛』を犬の毛と勘違いして、よそ見しながらなで続けていたんです。それで部屋中、爆笑になり、一気に打ち解けて仲良くなりました。今はデートで2人でペットショップに犬を見にいったりしています」

 結婚前に相手の動物の好みがわかれば、後々モメることがない。独身でペットを飼っている場合も、相手が同じ種類のペットを好きなら会話もスムーズに進むだろう。

 都内では、動物がらみの合コンが目白押しだ。喫茶店「Cat Cafe ねころび」は10月末に合コンを開いた。社会人サークル「アッシュ」も、11月末に新宿の居酒屋でペット好き向けの合コンを開く。大手の結婚情報センターでは、「MBR」や「オーネット」、「ツヴァイ」などが会員向けにペットイベントを開いている。

 ペットフード協会の越村義雄会長は、動物合コンの"効果"をこう話す。

「ペットにやさしくできる人は他人にもやさしい。動物合コンで、こうした性格を見極めてほしいですね。散

歩のときに犬を連れていると声をかけられやすいように、動物がいると会話や笑顔が自然と引き出されるので、下手な仲人より成果が出るかもしれません」

 医療の分野では、動物を触ると血圧が下がるなど科学的効用が認められている。今後は、動物が男女間のキューピッド役として、大きな力を発揮するのかもしれない。 (本誌・藤村かおり)


週刊朝日