警視庁でひそかに注目されているのが、9月1日未明、09年8月に脱税で有罪判決を受けたABCホーム元会長の塩田大介氏(43)が東京・西麻布の自宅前で〈3人組の男にフルボッコされて血まみれになった〉と報じられた事件。暴力団関係者と有名人が数多く登場するからだ。

 "加害者"と名指しされた3人組の一人、40代の会社社長がこう異を唱える。

「ケンカ自体は一対一。最初に塩田が僕の胸倉を掴み、友人が割って入ってひじを振り上げ、その一撃で塩田の前歯が吹っ飛んだ。うずくまった塩田は起き上がってその友人に立ち向かい、すぐ殴り負かされ、尻餅をついてから目の前の焼き肉店に駆け込んだ。出刃包丁を持ち出して『殺してやる!』と連呼しながら歩いてくるので、店外のイスや七輪を投げつけてタクシーで逃げたんです」

 きっかけは、3人が塩田氏に韓国・済州島に連れられ、うち2人がカジノで2億円余りをすったこと。

「塩田が韓国に行く直前にメールで〈アイツらギタギタにやっつける〉と周囲に送るなど、イカサマでハメられたと帰国後にわかり、弁護士を立てて話し合うつもりが、彼は返済期限を8月31日だと一方的に決め、その夜から『オイ、コラ、なんで連絡よこさんのか!』と初めて聞くような声が留守電に入りまくった。昼間に会社に来られたら困ると思い、『今は払うつもりがない』と話し合うつもりで行ったんです」(同)

 この説明に塩田氏は10月6日、こう反論した。

「最初に傘で殴ってきたのは相手の方で、そのあと3人にボコボコにされ、命の危険を感じて包丁を手にした。警察は数日中に逮捕する。それで真実がハッキリする。カジノがイカサマなら打たなければいいだけ。負けた分を返すのは当たり前で、たった2億でガタガタ言わないでもらいたい」

 "命の危険"を語る塩田氏の周辺には、有力暴力団元組長をはじめ、複数の暴力団関係者が蠢(うごめ)いている。警察から事情を聴かれた塩田氏の知人によれば、警視庁が調べているのは「傷害事件」ばかりではない。

「塩田の焼き肉店やバーには、芸能人やスポーツ選手も数多く来店し、塩田が顔見知りの客に紹介して回る。今もよく来るのがGacktとTUBE前田亘輝。女子プロゴルフの古閑美保を宴席に加えてくれることも。そんな場で変な付き合いに巻き込まれてなければいいけど」(塩田氏の知人)

 塩田氏の自宅ビル内のバーを訪ねると、客はほぼゼロ。従業員の一人は、
「事件以来、アッチ系の客がすっかり減っちゃって、この通りです」
 と寂しそうに笑っていた。  (時任兼作/本誌・藤田知也)


週刊朝日