注目のアプリ、その名も「れんあい支援アプリ カレログ」。都内のマルチメディア企画製作会社に勤務する有志4人が、小規模・低予算で開発した。もともとは営業マンの行動記録用だったものを「恋愛向け」に改造したという。

 一見、男性ウケしそうな"起業物語"だが、それが歓迎されない理由はアプリの内容にあるようだ。
 実はこれ、女性向けのサービスで、カレログを相手(男性)のスマートフォンにインストールすると、パソコンなどを通じて通話の履歴や携帯電話のバッテリーの残量、どんなアプリを使っているかなどを知ることができる。

 しかも、相手の携帯のアンテナが「圏内」であれば、現在位置まですべてわかってしまうのだ。

「探偵に依頼せずに浮気の証拠がつかめる!」
 などとして、カレログの噂はツイッターや2ちゃんねるで一気に広がった。開発した会社の担当者によると、9月8日現在、ダウンロード数は1万を超え、利用者数は約7200人。日頃から携帯電話のメールや着信履歴の隠蔽工作に勤しむ男性は戦々恐々、自分の携帯にインストールされているのでは!?と確認した読者もいるかもしれない。

 ちなみにカレログがインストールできるのはAndroid携帯。iPhoneは対象外だ。

 ところで、カレログのように勝手にアプリを使って監視することは、法律上問題ないのだろうか。

 インターネット事情に詳しい牧野二郎弁護士は、カレログを使った監視行為について、
「民法上の不法行為にあたる」
 と指摘する。

「個人情報の提示は対象者の同意が必要です。カレログのように、たとえインストールの際に『同意』確認が取れても、使用する度に個人情報を提供するかどうか選択肢がない限り、プライバシー権の侵害にあたる可能性が高いです」

 カレログを開発した会社は総務省の指示を受け、10月までに「健全な」方向へと改良するようだが、スマートフォンが普及し、専用アプリが10万本以上提供される現在では、いつ第二のカレログが出てきてもおかしくない。

 浮気性の男性は便利な機能に惹かれてスマートフォンを持つよりも、通話だけのアナログ携帯を持つほうがスマートな選択かもしれない。 (上垣喜寛)


週刊朝日