埼玉西武・菊池雄星が語る「甲子園と私」

 高校時代、僕らの目標は日本一でした。正直、初めのうちは甲子園で1勝もしていないチームが本当に日本一になれるのかと半信半疑でした。でも、目標を声に出して言い続け、実際に3年生の春に甲子園で準優勝したことで、それまでイメージがわかなかった日本一が現実のものとして近づきました。甲子園で勝つことは、僕らの感覚を変えてくれるものでした。1勝するまでは、甲子園に出場することが精いっぱいの"自分たちらしさ"でしたから。

 でも、勝利を積み重ねるたびに自信は深まり、いつしか甲子園が自分たちらしい空間、当たり前の空間になっていきました。だからこそ、3年生の夏の甲子園でも長崎日大との1回戦や明豊(大分)との準々決勝で、大逆転の末に勝つことができたと思います。

 甲子園は、やっぱり不思議な空間ですよね。全力疾走したぶんだけファンが増えるし、称賛したり、共鳴したりしてくれる。夏の甲子園での入場行進では、スタンドから多くの拍手をいただきました。「花巻東高校」と場内にアナウンスが響くと、ものすごい歓声が上がった。まるで夢のようだったし、ある意味でホッとしました。

 僕は1年生の夏にも甲子園を経験しましたが、そのときの行進ではスタンドは静か。組み合わせ抽選会では、対戦校が決まったとき笑いながら拍手をされたのを覚えています。そのときに比べたら本当に別世界。2年間で花巻東や岩手県のイメージが大きく変わったんだなあと、つくづく感じました。

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