(※イメージ)
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 「保育中の園児死亡ゼロ」との見出しを1面で掲げたのは5月14日付の読売新聞だった。被災した各県で死亡事例の報告がないことを取り上げて、こう記した。

〈「奇跡の犠牲者ゼロ」と保育関係者などの間で言われている〉

 命がけで子どもを守った保育園は確かに少なくなく、その後も民放テレビ局の情報番組などが特集を組んだが、実際には園に預けられたまま死を遂げた子どもがいることも知るべきだろう。

 宮城県山元町の町立東保育所。3月11日の地震発生時は昼寝の時間で、そのとき六十数人の子どもを預かっていた。駆けつけた家族や親族に子どもを引き渡し、津波が押し寄せる間に残ったのは、所長を含む職員14人と子ども13人だった。

 職員らが子どもを連れて逃げ始めたのは、いよいよ津波が保育所に迫ってからのこと。職員らの車9台に分乗したのだが、その"逃げ方"がのちに遺族の不信感を煽ることとなった。

 ある関係者が説明する。

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