(7)湯沸かし 電気ケトルを使って▼45%

 日常でよく使う「湯沸かし」について、600㏄の水道水を沸騰させて比べてみた。

「電子レンジ」は6分間で110Wh、「電気ケトル(ティファール1リットル)」(5千円程度)は3分間で60Whだったので、ティファールの電気ケトルが早さと消費電力で優秀だとわかった。

 電子レンジを使わずに電気ケトルを使うと45%の消費電力カットとなる。

 では、ガスの火でやかんの水を沸かすのと、電気ケトルとではどっちがエネルギー効率がいいのだろう。

 これは「熱効率」で表される。

 電気ケトルの熱効率は一般的に90%と言われている。これに対して、ガスコンロを使ってやかんの水を沸かす場合は、無駄のないように上手に火加減を調節しても50%そこそこだという。

 つまり、ガスの火を使って煮炊きをすると、エネルギーのざっと半分は台所の温度を上げる方向に使われてしまう。ガスの場合は電気の「送電ロス」と違い、ガス管を伝わる時のロスはないのだが、実際に使っている時に無駄が出ているわけだ。夏場に自宅の中を冷やしている時には、ガスを使った湯沸かしは避けたほうがいい。

 お湯を沸かしたなら、余さず使いたい。そのために、魔法瓶も有効活用しよう。

 電気ケトルで沸騰させた1リットルの熱湯を魔法瓶に入れて、1時間後に温度を測ると89度になった。「コーヒーの抽出は85度程度、玉露なんか60度がベストよ」と妻が教えてくれたが、温度が下がってきたお湯も使い道はある。お湯を使うなら、電気ケトルで沸騰させたものを魔法瓶で保温。これがベストだ。

 なお、夏場は魔法瓶に氷をぎっしり入れて、水を入れておくと、冷蔵庫に保存するよりはるかに冷たい水を飲むことができる。「魔法瓶+氷水」を常備することで、冷蔵庫の扉を開け閉めする回数が激減することも覚えておいたほうがいいだろう。

(8)冷房 エアコンと扇風機併用で▼10%

 この記事を書いている時が思わぬ低温だったので、エアコンの計測は冷房ではなく除湿で行ってみた。

 三菱電機「霧ケ峰」を除湿「強」で1時間運転させると、消費電力量は約200Whだった。「弱」にすると消費電力量は1時間で約160Whに減ったが、部屋の温度は「弱」のほうが約2度高かった。

「弱」運転と同時に、三洋電機の扇風機を弱+首振り+リズム風でつけると、体感温度は「強」の時と変わらなくなった。というか、扇風機が近くにあると寒い寒い! 扇風機の消費電力量は1時間で20Whだった。

 エアコンを「強」にして単体で使うのではなく、エアコンの「弱」と扇風機を併用すれば、消費電力を1割減らせる。

 扇風機を省エネ製品に替えれば、より節電効果を高めることができる。

 最小3Wの電力で動く「グリーンファン2」(バルミューダ、3万4800円)と、わが家で13年間使い倒していた「F-C306S」(ナショナル)の最大風力での電力比較をしてみた。

 グリーンファン2は4段階のうち「最強+首振り」にすると、1時間で16Whを消費した。これに対し、ナショナル製は「最強&f分の1ゆらぎ+首振り」で1時間で35Wh。グリーンファン2は最強時でも旧型の半分以下の電力で動くことがわかった。

 エアコンは最新の省エネ機を1時間、最低電力で動かしたとしても45Whを消費するので、使わないですむならば、エアコンを切るのが最大の節電になるのは言うまでもない。

 わが家の女房はエアコン嫌いなので、この方法を推奨したいようだが、我慢大会ではないので、くれぐれも無理はしないでほしい。

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 計測してみてわかったのは、家庭での節電はまだまだ可能、ということ。一つずつの製品が使う電力を検証しながら、地道に無駄を省いていきましょう。 

週刊朝日