しかし、前社長の西松遥氏は1月に退任する直前、経営悪化の要因をこう説明していた。

「国際線はリーマンショックやテロなどで不安定な経営を余儀なくされる。なのに、JALでは国際線売り上げが全体の半分で、変化に追いつかなかった。国際線の比率をもっと下げなければならなかった」

 それなのに計画案はこの教訓を生かさず、逆に国内線を子会社に集めて本体の国際線比率をさらに高めようとしている。問題はこれだけではない。あるJALのOBが指摘する。

「乗員養成にも大きな支障が出ます」

 路線と機材の削減で、JALでは今後数年間、新規のパイロット養成は必要なくなる。この結果、今春入社した社員を含む130人の訓練生がパイロットへの道を閉ざされ、地上職に転向を余儀なくされた。これでは訓練生はたまらない。

●大臣発言ネック、永久国有化も!?

 一方、路線が増えるJEXでは必然的に機材も増えるので、乗員養成が早急に必要になるという。それなら、JEXをJALに統合してJEXの低コスト体質をJALに導入すれば、訓練生も救え、給与も今JALが組合と交渉している水準よりも下げられるのではないか。実際、JAL社内の若手からは、JEXとの統合を求める声が強く出ている。しかし、JALの大西賢社長は、

「JEXとは乗員養成や運航形態が違う」

 と、一社化に難色を示している。なぜなのか?

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