これは、今年1月にJALが会社更生法の適用を申請した時から変わっていない点でもある。JALのある幹部が話す。

「かつて、JALの尾翼には赤い鶴のマークが描かれていました。あのころのJALは半官半民で、国際線を独占し黄金期だった。しかしその後、日本エアシステム(JAS)と合併し、経営が悪化した。今回の更生計画案は、この統合前の輝かしい『鶴丸JAL』に戻ろうとするものです」

 更生計画案を専門家に分析してもらったところ、確かに国際線で5割近い営業収入比率を維持する見通しになっている。30路線から撤退しつつも、10月に国際化する羽田空港からパリやホノルルなど新たに6路線に就航する予定だ。

 その一方で、国内の地方路線の多くを、低コストの子会社「JALエクスプレス(JEX)」に移す。その多くがJASから譲り受けた路線だ。JALに残る国内線は、羽田-札幌などの幹線のみになる。

 実はJAL社内では今でも、JASとの合併が経営危機を招いたとみる声が根強い。JASの路線には地元の要望でできた不採算路線が多いからだ。

「子会社をJAS化して、いつでも売却できるようにしているのです」

 先の幹部は指摘する。

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