この夏、水面下で、JALの現状を象徴するできごとがあった。

 燃費の悪いジャンボジェット機の売却を急ぐJALが新たに8機を競売にかけたところ、あの格安航空会社のスカイマークが応札してきたというのだ。スカイマークの関係者が明かす。

「JALとしては1機50億円ぐらいを想定していたようですが、スカイマークは1機約4億円、計約33億円で応札したようです」

 希望価格の12分の1ではビジネスにならない。もちろんJALは断った。しかし、話の続きがあった。先の関係者が言う。

「数日後、JALの管財人である企業再生支援機構がスカイマークに再度、連絡してきました。そして機体の価格はそれでもいいから、パイロットや整備士も一緒に引き取ってもらえないかと言ってきたそうです」

 パイロットや整備士のライセンスは特定の機種にしか使えない。JALは、ジャンボ機そのものだけでなく、ジャンボのライセンスしか持たない要員の余剰にも悩んでいるのだ。そこで「格安で機体を売るから、8機で約40人のパイロットや100人近い客室乗務員など約200人の社員も一緒に引き取って」とスカイに持ちかけたらしい。

「さすがのスカイマークもこれは断ったそうです。JALの高給パイロットを使うなんて、スカイがするはずがありませんから」(同)

 この逸話が象徴するのはふたつだ。今やJALのなかで価値があるのは機材だけで、人材にはないこと。そして、JALにとってお荷物のジャンボ機でも、乗員コストの安いスカイマークなら収益を上げられる可能性が十分あるということ。先の関係者が続けた。

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