羽田の国際化は新たな成長へのスタート──菅首相自らがそうぶちあげ、羽田空港の国際定期便が10月末、32年ぶりに復活する。首相周辺は、これで日本の空は安泰だと言いかねない勢いだが、専門家からは逆に、このままでは日本の没落が始まると警告する声が続出している。

 国際化目前の羽田空港に10月15日、世界最大の旅客機、エアバスA380が降り立った。翌日に菅直人首相が出席する祝賀会を控えての飛来だったが、国土交通省の専門家は、苦笑交じりにこう打ち明ける。

「あの巨人機は、実は昼間は着陸できないんです」

 今回、羽田の国際化を可能にしたのは4本目の滑走路が増設されたためだった。だが、この新滑走路は設計上、巨人機の重さに耐えられない。誘導路も、前後の航空機と十分な間隔がとれない個所があり、混雑している昼間は受け入れられないのが実態だという。

「あの日、着陸できたのは空いている早朝だったからです」(専門家)

 問題点はそれだけではない。例えば、

・国際線旅客ターミナルビルは早くも容量不足で、開業前から増築を検討中

・4本の滑走路は離着陸コースが交錯し、機体の異常接近が心配▽国際線と国内線のターミナルを結ぶ滑走路下のトンネルの幅が狭く、乗り継ぎ客や乗務員を運ぶ車両が渋滞に巻き込まれ、間に合わない恐れがある

・出発ロビーなどのデザインが5年前に開港した中部空港とそっくりで進歩がない

 等々、枚挙にいとまがないのだ。

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