星野氏は、1988年に中日を6年ぶりに優勝させ、2003年には万年Bクラスだった阪神を18年ぶりにセ・リーグ制覇に導いた。今季、パ・リーグでダントツの最下位に沈んだ楽天は、彼の高いチーム再建能力を見込んで白羽の矢を立てたわけだ。

 だが、ある野球評論家は、「なぜ星野なのか、理解できない」と首をかしげる。
「課題とされる若手投手の育成なら(監督候補に挙がった)元西武監督の東尾修のほうが、格段に評価は高い。結局、星野のチーム再建策はカネありき。大金をはたく大型補強という『血の入れ替え』が星野流なんです。阪神の監督時代は金本知憲、伊良部秀輝らの獲得にウン十億の費用がかかったといいます。ケチな楽天が大金を出せるのか」

 エース岩隈久志がポスティング(入札)での大リーグ移籍を目指しており、球団側は、10億円とも、20億円とも言われる臨時収入も期待しているが、
「今オフのFA市場には星野氏の息のかかった大物が不在なんです。横浜の村田修一、内川聖一らは巨人などの人気球団志向が強い。中日時代のまな弟子である川上憲伸も、大リーグ残留を目指しており、日本球界に復帰する可能性は低いようです」(スポーツ紙記者)

 また、楽天ナインの反応も歓迎ムード一色というわけではないようだ。
「星野氏は選手の好き嫌いが激しく、コーチ陣もイエスマンで固める。ブラウン前監督の放任主義に染まった田中将大ら若手は、こうした星野氏の"恐怖政治"と合わないでしょう。ある若手は『何をすると嫌われてしまうんですか』と真顔で聞いてきましたよ」(前出の評論家)

 その言葉どおりに、星野・楽天のコーチ陣には、明大の後輩で元阪神の広沢克実氏や中日監督時代に活躍した種田仁氏、関川浩一氏らの名前が挙がっている。

 煮え切らない話ばかりだが、楽天関係者は星野氏の抜群の知名度による集客回復と、「ジジ殺し」とも評される"才能"に期待しているのだ。
「三木谷浩史会長はほとんど仙台に来ないので、地元経済界の信用はいまひとつ。球団のスポンサー収入が減少し続けているが、そのパイプの弱さが一因との声もある。星野氏は、財界関係者とのパイプを築くのに抜群にたけている。仙台の経済界にも深い根を張って頂いて、収益増にも貢献してもらえると考えています」(楽天関係者)

 「仙・仙ライン」が楽天を救うことになるのか?  

 本誌取材班


週刊朝日