さらに、ウェブを閲覧すること以外にも、音楽や動画を視聴したり、電子書籍を読んだり、ゲームをしたりといった、数々の機能が搭載されている。それらをフル活用するためには、iPadとつなぐためのパソコンが1台あると便利だ。大容量の動画データを保存しておくなど、パソコンがあれば、iPadの使い道が大きく広がることになる。

 現在はiPadに同じ土俵で戦うライバルが少ないため、一人勝ちの状態が続いているが、西田さんは、

「今年の秋口から年末にかけて複数のメーカーから類似機種が発売される」

 と断言する。

「iPadと同じ程度のクオリティーとなるとなかなか難しいと思いますが、すでにパソコンメーカーのDELL(米国)は夏までに米国と欧州向けに多機能携帯端末を発売すると公表しています。また、ソニーも、今年度中に日本を含めた世界各国で情報端末を発売することを検討しています」

 パソコン難民を救う、「助け舟」は続々と増えそうなのだ。(本誌・竹内良介、佐藤秀男)

●「こうなったらいいな」が現実に タレント リサ・ステッグマイヤー

 私は国内発売よりも一足早く、4月30日にiPadを手に入れました。米国に出張した主人が米国版のiPadを買ってきてくれたんです。第一印象は、とにかくかっこいいの一言。画面が大きくて、すごくきれいで、実物を見た瞬間、すぐに気に入りました。

 電子書籍を読むために、とても優れた端末だと思います。指でパネルを触って操作するので、実際に本をめくっているような感覚で読み進められるんです。ページをめくる作業って重要なんだと改めて気付かされましたね。ただ意外と重くて、片手で長時間はつらいんです。だから、私は寝る前にひざの上にiPadを置いて電子書籍を読みふけっています。

 iPhoneもそうでしたが、基本的に説明書が必要ないんですよ。使っているうちに、「あっ、そういうことね」みたいな感じでマスターできちゃう。私は説明書を読むのが大の苦手なので、本当に助かっています。(笑い)

 iPadは、これまで映画の中でしか成立しなかったような作業を現実世界で可能にした道具だと思います。「こうなったらいいな」が現実になったんですからね。これは楽しいですよ。

●紙のデジタル化が急速に進む近未来 エクスアールコンサルティング代表取締役CEO・板橋悟

 iPadの出現によってビジネスの近未来が大きく変わろうとしています。

 おそらく近い将来、「スキャナーの大流行」が起こるでしょう。iPadの優れた機能のひとつには、データ保管・閲覧機能があります。たとえば、目の前に山のように積まれた書類があるとして、それらをデジタル化すれば、iPadに収納することができます。デジタル化のためにはスキャナーが必要ですから、一家に一台というレベルで普及が進んでいくかもしれません。また、iPadに入れたデータは手軽に持ち運べるだけでなく、複数の人間が同時に見ながら会議を行うことも可能です。これはビジネスマンにとって非常にありがたい変化といえるでしょう。

 レンタルビデオ業界にも変化が訪れるかもしれません。映画やテレビドラマがデジタル化され、iPadで見られるようになれば、レンタルビデオ店に借りに行く必要がなくなります。米国では購入後のある一定時間だけ視聴できるレンタル動画配信サービスが、すでに始まっていて、飛行機に乗る前に動画をダウンロードして、機内で見るという米国人も珍しくなくなっています。

●万人に使われる可能性のあるツール 元ライブドア社長・堀江貴文

 これまでマウスやキーボード操作、ウェブへの接続のしにくさなどがハードルとなり、パソコンを敬遠してきた層が、iPadを持つことでウェブを利用するようになるでしょう。タッチパネルによる直感的な操作も幅広い層から支持を得るはずです。これまでのパソコンとは違って、ウェブを利用するための最初のハードルがかなり下がったなという印象です。

 そうなると、当然マーケットが拡大します。続々と魅力的なアプリケーションが配信されるようになり、どんどんウェブ利用者が増えていきます。これまでリアルな店に行っていた層も抵抗感なく、ウェブ上でショッピングをするようになるでしょう。

 ついにコンピューターが進化を遂げ、万人に使われる可能性のあるツールが生まれたなと感じています。確かに大きさや重さなどの問題があって、持ち歩くには多少難がありますが、iPadの出現は、コンピューターを一人ひとりが使えるようになる時代の序章だと思います。

 私はパソコンだけで満足しているのですが、未来がどうなるのか、自分自身で体験したかったので、iPadを購入しました。

●セカンドパソコンとして最適な端末 メディアジャーナリスト・津田大介

 iPadには、電子書籍を読んだり、音楽や動画を鑑賞したり、さまざまな楽しみ方がありますが、個人的に最も価値を感じているのは情報を入手するためのデバイスとして非常に優秀な点です。iPadに合わせて作られた、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルなどの、米国メディアが配信するアプリケーションは文字だけでなく、画像はもちろん、動画も取り入れられていて、情報収集に使い勝手がいいんです。

 僕は主にネットブックの代わりに使うつもりでいます。ネットブックよりも断然、早くウェブにつながりますし、もちろんメールもできますから、リビングに置いておくと重宝しそうです。

 また、日常的に使うパソコンの横に置いておくのもいいかもしれません。たとえばiPadで「ツイッター」を開きっぱなしにして、パソコンで仕事をしながら、思ったことをつぶやけるのは便利ですよね。

 つまり、セカンドパソコンとして最適な端末なんです。もし、セカンドパソコンを買おうと考えている人がいたら、僕はネットブックではなく、iPadをおすすめします。

週刊朝日