●週末には特性スイーツを提供、MICEやイベントも視野に

「富士山ビュー特急」は、富士急行が運行する観光列車「富士登山鉄道」と同じ路線を走り、デザインのコンセプトも共通だが、座席やサービスなどは異なる。3両中の1両を全席指定の特別車両とし、ホテルのような空間でウェルカムドリンクを提供。週末には特製スイーツを提供する専用車両としても運行する。富士急行が車内で飲食を提供するのはこれが初めてのことだ。

 予約は好調で、ゴールデンウィーク明けまで週末は満席だという。今のところ、外国語での情報発信をしていないため予約はほぼ日本人。今後は、富士急行の台湾・上海の海外拠点での営業活動を行なっていく考えだ。また、団体臨時列車など貸切り運行も可能で、MICEやイベントなどでの活用も視野に入っている。

●富士五湖エリアの観光スポット

 富士急行では以前から、域外からの需要獲得のために列車やエリアの価値を高めることを突き詰めてきた。この時期開催される「富士芝桜まつり」は、7年目となる2015年には入場者数が52万人を数える一大イベントとなった。このうち訪日客は入場者の2割に高まってきている。

 今回取材した4月20日も、平日ながら河口湖駅からの直通バス「芝桜ライナー」に行列ができていた。特に目立ったのは、外国人旅行者の姿だ。付加価値を作り出すことで域内の移動を促し、運輸事業へ需要の循環に繋がっている好事例といえる。