赤字の楽天モバイルは新プランで巻き返せるか。三木谷浩史氏の手腕が問われる(撮影:尾形文繁)
赤字の楽天モバイルは新プランで巻き返せるか。三木谷浩史氏の手腕が問われる(撮影:尾形文繁)

コスパは最高であるにもかかわらず、加入者数は苦境という楽天モバイル。既存事業は絶好調にもかかわらず、経営は苦境という楽天グループの足かせになりかけていました。

私は経済評論家の立場で、この状況を打破するには「楽天モバイルに風を吹かせなければならない」と主張してきました。現在、楽天モバイルの加入者数は454万人ですが、安定的に黒字となるには私の試算ではあと1000万人規模で新しい加入者が増えなければなりません。

普通に考えると遠い数字に思える1000万人の新規加入ですが、それほど無謀な挑戦ではありません。過去、ソフトバンクがボーダフォンを買収した直後には、それよりも多くのユーザーを獲得した前例があります。

何より楽天経済圏が4000万人超と国内最強レベルの顧客基盤を持っていることを考えると、1000万人という目標は楽天グループが乗り越えるべき現実的な目標です。

最強プランは何がすごいのか


ただ条件としては「風が吹かなければ」いけません。ブームが起きるぐらいの変化が必要です。そこで楽天がどんな風を吹かせてくるのか注目していたところで今回のニュースです。

楽天モバイルが「Rakuten最強プラン」を発表しました。

これまでと同じ月額1078円(税込み、以下同じ)で3GBまで、月額2178円で20GBまで、月額3278円でデータ使い放題というプランでありながら、楽天モバイルのネットワークにつながらない場合にローミングされるKDDIのパートナー回線の利用制限も撤廃したのです。

これまではKDDIのパートナー回線での高速通信は月間5GBに制限されていて、5GBを超えると通信速度が1Mbpsに制限されました。私の場合、地方に出張する際に終日、そのような状況になる場合があります。私は一日でデータ量を1GBぐらい使うので、出張が一週間を超えるとつらいかなという感覚はありましたが、その心配は今後なくなります。

それ以上に新規加入者にとって重要なことは、KDDIとのローミング協定を見直して、都市部の繁華街を新たにローミングエリアに追加するなど、プラチナバンドをまだ持てていない楽天モバイルの弱点をカバーできるように変えたことです。

次のページ
どんな場所でもつながるようになる?