ムカデが這う「ゴミ屋敷」で育った20代女性の苦悩 (1/4) 〈東洋経済〉|AERA dot. (アエラドット)

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ムカデが這う「ゴミ屋敷」で育った20代女性の苦悩

大塚玲子東洋経済
ゴミ屋敷で育った少女が20代になった今語る苦悩とは?(写真:彩矢さん提供)

ゴミ屋敷で育った少女が20代になった今語る苦悩とは?(写真:彩矢さん提供)

学校の友だちが一人もいない塾が救いだった

「ゴミ屋敷」と「父の借金」を体験してきたという彩矢さん(仮名・20代)から届いた取材応募メッセージは、過去最長レベルの3000字超えでした。そのまま記事にしてしまおうかと思うほどよくまとまった文章でしたが、ズームでお話を聞かせてもらうことに。

 いまは結婚しており、定職もあって幸せに暮らしている、という彩矢さんの背景には、居心地のよさそうな部屋が映り込んでいます。それは、このあと彼女に聞かせてもらう「ゴミ屋敷」とはあまりにほど遠い、平和な日常の風景でした。

「同じような境遇で苦しんでいる子に、少しでも『なんとかなるものだなぁ』と思ってもらえたら」。そう連絡をくれた彩矢さんの話を、ここに届けます。

■「今日要るから5万くれ」甘やかされて育った父の横暴

 両親と妹と4人で暮らし始めたのは、彩矢さんが幼稚園の年中の頃でした。それまで父親の実家に住んでいたのですが、父が作った借金が発覚して祖父母から追い出されたのです。当時、父親はよくパチンコ店に通っていました。

 移った借家が片付いた状態だったのは、「引っ越した直後の、ほんの一瞬」のみ。それからは「ゴミと虫と蛇、ネズミとの共同生活」でした。

 小学生の頃は、学校が終わると母の実家である伯父の家で過ごし、夕方になると仕事を終えた母が迎えに来て「ゴミ屋敷に帰る」毎日でした。このとき、母の兄嫁からよく思われていないことは、子どもながらによくわかっていました。もともとその家も大所帯でしたし、彩矢さんの両親は彼らにも多額の借金をしていたのです。彩矢さんはこの家でいつも「いい子にしていなければいけない」と感じていました。

 母親は当時も今も、フルタイムでパートの仕事をしています。父親は一時期、会社勤めをしてそれなりの給料をもらっていたのですが、気に入らないことがあると怒鳴り散らす横暴な性格だったために解雇され、今は別の仕事をしているそう。

「父は5人きょうだいで、上4人が全員お姉ちゃんなんです。5人目でやっと男の子だったので、祖父母がすごく甘やかして育ててしまって。欲しいものは何でも買ってあげる、みたいな生活だったので、それで父が実家のお金を全部使い切ってしまった感じです」

 両親は毎日、喧嘩をしていました。見栄っ張りで、都合の悪いことはすべて人のせいにしたがる父親は、気に入らないことがあれば妻にも子どもたちにも平気で手をあげます。母親も「しおらしいタイプではなかった」ので、夫を殴り返したり、罵ったり。聞くに耐えかねたのか、妹は一時期、心因性の難聴を発症していました。


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