増えている「固定電話恐怖症」の背景と実態 (1/2) 〈東洋経済〉|AERA dot. (アエラドット)

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増えている「固定電話恐怖症」の背景と実態

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大野萌子東洋経済
電話対応している最中に泣き出してしまう社員もいるようです (※写真はイメージ GettyImages)

電話対応している最中に泣き出してしまう社員もいるようです (※写真はイメージ GettyImages)

電話対応中に泣き出してしまう社員もいる

 こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ(R)」の大野萌子です。

 入社後1年未満で仕事を辞める人たちの離職理由に「電話に出られない」というのを耳にするようになったのが、10年ほど前でした。電話に出ようとするだけで、「緊張が走り、体調が悪くなる」。最終的には職場に足が向かなくなるといった事例が多く、電話対応している最中に泣き出してしまう社員がいるのだがどうしたらよいのかという人事担当からの相談を受けるようになったのもこの頃からです。

●電話対応の経験値がゼロのまま社会人に

 最初にその話を聞いたときには極度の対人恐怖があるのかと思いましたが、ほかのコミュニケーションには特段の問題が見られないこともあり、問題が「電話」にあることがだんだんと明らかになってきました。

 固定電話のある家庭は、年々減少してきており、幼少期に「家の固定電話に出たことがない」という人が増えてきています。仮に出た経験のある人もナンバー・ディスプレイの表示により「知っている人(両親や祖父母など)」からかかってきたときにのみ出るという傾向が強く、誰からかかってきたのかわからない電話への対応をまったく経験していないという状況です。

 必然的に「取り次ぐ」「伝言を受ける」などの経験もなく、アルバイトで電話対応の経験がなければ、経験値ゼロのまま社会人になることになります。どんなに簡単なことでも経験したことのないことはハードルが高く、難しいものです。それでも柔軟に対応できる人もいれば、なかなか思うようにいかない人もいるでしょう。

 とくに昨今は、クレーマーなどモンスターカスタマーの対応を強いられるケースも多く、慣れないうちに洗礼を受けてしまうと、心理的な要因も加わり、その後、怖くて電話を取れないということにもつながりかねません。

 さらに、仕事としてのみならず、そもそも電話自体が苦手というケースも増えています。LINEなどの文字ツールが主流となった昨今、親しい友人たちとも文字でのやりとりが主流になり、よほどでないと電話で話をする機会がありません。2019年度卒の社会人を対象にした「マイナビ」実施のアンケートでは、友人との連絡に電話を使うという割合は、1%しかいないという結果が出ています。

 電話はそもそもの伝達ツールとして役割を担わなくなってきたとも言えます。LINEなどはスタンプに頼ることもできますし、短いフレーズや単語でのやりとりが可能です。そうするとおのずからボキャブラリーが減ってしまい、瞬発的に出る言葉に詰まるということが出てきます。また、返事に戸惑ったりするときに文字ツールだと、時間稼ぎができます。場合によっては、少し考える時間を置くことさえ可能なわけです。

 しかし、電話は相手と時間を共有しているので、ある意味、瞬発力が必要で、考える時間も多くはありません。失言したり、思わず意図しない返事をしてしまったときに、修正がきかずに苦しむことがあると、電話で話すこと自体に抵抗を感じるようになってしまうこともあります。


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