吉野家、ぬぐい切れぬ「9年ぶり赤字転落」懸念 (2/2) 〈東洋経済〉|AERA dot. (アエラドット)

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吉野家、ぬぐい切れぬ「9年ぶり赤字転落」懸念

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佐々木 亮祐東洋経済
既存店の客数が減少し、通期決算で赤字転落への懸念が浮上している吉野家(記者撮影)

既存店の客数が減少し、通期決算で赤字転落への懸念が浮上している吉野家(記者撮影)

【図表1】

【図表1】

はなまるうどんやガストと3業態合同の割引券を企画したが、コスト増になった(撮影:尾形文繁)

はなまるうどんやガストと3業態合同の割引券を企画したが、コスト増になった(撮影:尾形文繁)

【図表2】

【図表2】

値上げにもかかわらず、「牛すき鍋膳」の売上げは底堅い(撮影:今井康一)

値上げにもかかわらず、「牛すき鍋膳」の売上げは底堅い(撮影:今井康一)

●値上げの「牛すき鍋膳」は堅調だが…

「牛すき鍋膳」は昨年から40円値上げして690円にしたにもかかわらず、売れ行きは前年並みを確保している。第4四半期の収益押し上げ効果に期待したいところだが、コストアップ要因を完全に跳ね返せる存在になるかは不透明だ。

 さまざまなコストが上昇する中、吉野家ホールディングスも手をこまぬいているわけではない。収益改善策のひとつが、「キャッシュ&キャリー」と呼ばれる、前払いで客自身が膳を運ぶ店舗への改装だ。

 店舗を改装すると、その期間の売り上げロスも大きいため、改装は相当な利益圧迫要因となる。だが、同社が今後5年間で吉野家の約1200店のうち500店ほどをキャッシュ&キャリーに切り替えるのは、大きなメリットがあるからだ。まず、従業員の負担軽減だ。客席まで膳や注文を取りに行く必要がなくなるため、高齢の従業員も働きやすく、人手が確保しやすくなる。

 フルサービスをしない代わりに、メニュー数を増やして顧客の満足度を維持する。先行して改装した東京・恵比寿の店舗では、通常の店舗のメニューに加え「から揚げ丼」などフライヤーを使ったメニューやコーヒー、ケーキなども提供する。客席には充電用のコンセントが備え付けられている。

 こうした改装によって、これまで来店の少なかった女性や若年層の客が増加し、客層の拡大が期待できる。実際、都心部のビルイン型で先行して改装した13店舗では(2018年12月末時点)、従来型の店舗と比較すると男性客は横ばいながら、女性客が47%増加した。顧客の平均年齢も1.2歳低下している。客単価も2%程度向上した。入店しやすい雰囲気からテイクアウトの利用も増えた。

●P&G幹部起用しマーケティング強化

 吉野家ホールディングスは2018年1月にP&Gでヴァイスプレジデントを務めた伊東正明氏を戦略担当顧問として招聘し、マーケティングの強化に力を入れている(同年10月に常務に昇格)。伊東氏は「牛すき鍋膳」などの鍋商品でもテイクアウト販売の需要があると見越し、キャンペーンなどの拡販戦略を打ち出している。

 足元では苦しむ吉野家だが、未来への布石は着々と打っている。巻き返すことができるか。(佐々木 亮祐 : 東洋経済 記者)


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