ライザップ、買収行き詰まりで始まる逆回転 (2/2) 〈東洋経済〉|AERA dot. (アエラドット)

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ライザップ、買収行き詰まりで始まる逆回転

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緒方 欽一東洋経済#企業
減量ジム事業の大ヒットで有名経営者の仲間入りを果たした瀬戸健社長(撮影:梅谷秀司)

減量ジム事業の大ヒットで有名経営者の仲間入りを果たした瀬戸健社長(撮影:梅谷秀司)

(出所)開示資料を基に週刊東洋経済作成

(出所)開示資料を基に週刊東洋経済作成

(出所)開示資料を基に週刊東洋経済作成

(出所)開示資料を基に週刊東洋経済作成

●大きな躓きとなったワンダー社の買収

 特にワンダーコーポレーションの買収は問題含みだ。RIZAPグループは、2017年5月に繊維商社・堀田丸正の買収を発表。その後は、悲願となっていた札幌証券取引所から東証1部への上場に向けた準備を水面下で進めており、業績見通しを左右する大型の企業買収を手控えてきた。

 だが子会社でコンプライアンス問題が発覚し、早期の東証上場は難しいとわかった時点で、再び買収へとアクセルを踏み込んだ。その対象がワンダーコーポレーションだった。

 ワンダーコーポレーションはゲームソフトや書籍を扱う「WonderGOO」、CD・DVD販売の「新星堂」などを北関東中心に全国展開する。買収にはワンダーコーポレーションの店舗に減量ジムや買収子会社の雑貨店舗などを出店していく狙いがあった。

 減量ジムの売上高が年間300億円に満たないのに対し、ワンダーコーポレーションは同700億円を超える。さらに傘下の新星堂はCD販売市場の急縮小という逆風にあえぐ。

 ワンダーコーポレーションは2013年に新星堂を救済買収したものの、現在に至るまで一度もセグメント黒字化することなく、赤字を垂れ流し続ける。結果、ワンダーコーポレーションは5期連続の最終赤字という状況だ。

 こうした子会社の経営再建を優先するため、ライザップは新たな企業買収を実施しないと公表した。

 だが、この買収凍結は2つ目の誤算となった。2018年度の業績見通しに織り込んでいた、利益の押し上げが見込めなくなったからだ。

 これまでRIZAPグループは、主に経営不振の赤字企業をターゲットとし、その企業の純資産額を下回る金額で買収を行ってきた。

 結果、買収額と純資産との差額を負ののれん(割安購入益)として営業利益に計上。2017年度は営業利益の約6割を負ののれんが占めた。2018年度も営業利益の半分程度を見込んでいたが、買収凍結により、103億円の下方修正要因となる。

 負ののれんで利益を押し上げる会計手法については、週刊東洋経済でもたびたび問題を指摘してきた。瀬戸社長は、「利益ありきではなく、バランスシートしか見ていないといっても過言ではない」と、かみ合わない。

●松本氏が経営を監視

 今回の決算を受けて、瀬戸社長は「グループシナジーや短期的な収益改善が見込めない事業は縮小、撤退、売却を検討していく」と明言。従来の拡大策から180度の方針転換を図る。ぱどの展開する出版事業やタツミプランニングのメガソーラー事業などが、俎上に載るとみられる。

 決断を迫ったのが6月に代表取締役に就任した松本晃氏だ。松本氏は直近までカルビー会長として辣腕を振るってきたプロ経営者。

 決算説明会に同席した松本氏は、「ライザップはおもちゃ箱のような会社で面白そうと思っていたが、いくつか壊れているおもちゃがある。今修繕しないと大きな問題になる」と指摘。今後は構造改革担当として、子会社の再建に本腰を入れる瀬戸社長を監視していく。

 だが、復活の道筋は厳しい。本業から生み出せる営業利益の実力値は現状、減量ジムを中心に推定で100億円前後。企業買収や負ののれんにはもう頼れない。

 RIZAPブランドで展開するゴルフ教室や英会話教室は先行投資の段階で、ジムに次ぐ収益の柱になるまでには時間を要する。

「通信簿でいうと5段階評価で現状は1。結果を出すしかない」と、瀬戸社長は語る。皮肉にも“筋肉質”な企業への転換を迫られるRIZAPグループ。結果へのコミットが求められている。(緒方 欽一 : 東洋経済 記者)


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