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アジア市場でしのぎを削る アマゾン、アリババとの頂上決戦

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二階堂 遼馬:東洋経済 記者東洋経済

「2036年までに20億人のユーザー獲得を目指す」と本誌の取材に語る、アリババグループ・ホールディングCEOの張勇氏(撮影:梅谷秀司)

「2036年までに20億人のユーザー獲得を目指す」と本誌の取材に語る、アリババグループ・ホールディングCEOの張勇氏(撮影:梅谷秀司)

 世界のEC市場における2大巨頭といえば、アマゾンと中国のEC業界最大手であるアリババグループ・ホールディング(以下、アリババ)だ。

 アリババの売上高は、2017年3月期1582億元(約2.5兆円)。アマゾンの約15兆円には遠く及ばないが、これはビジネスモデルの違いに起因する。アリババは商品を販売する出店者や個人から手数料を取る「マーケットプレイス型」。一方のアマゾンは自前で仕入れて販売する「直販型」が売り上げの大部分を占める。アリババもマーケットプレイス上での流通総額で見れば、約61兆円とアマゾンをはるかに上回る。年間利用者はアリババのほうが多い。

 6月8日に開いた投資家向け説明会では、アリババが強気の計画を打ち出した。「18年3月期の売上高は前期比45~49%増になる。われわれは売上高の成長スピードをもっと加速させていく」(武衛〈マギー・ウー〉CFO)。この発言を受けて、同社の株価は急伸。アリババ株を約3割保有するソフトバンクグループの株価もこれに大きく反応した。

●インドの投資をアマゾンが積極化

 この2大巨頭がアジア市場の攻略を活発化させている。アリババの中国を除いたEC売り上げは全体の約9%、アマゾンの北米以外の売上高は32%と、両社とも自国以外の市場開拓がさらなる成長のカギを握っている。

 アリババは昨年4月に東南アジアEC大手・ラザダを買収。同6カ国への足場を築いた。「グローバル化はわれわれの最重要課題。ラザダの存在は大きな武器になっている」と、張勇(ダニエル・チャン)CEOは語る。ほかにも関連会社のアント・フィナンシャルと共同で、インドでモバイル決済やECを手掛けるPaytmに出資している。

 インドへの投資はむしろアマゾンのほうが積極的だ。同国のEC市場は16年に前年比56%増の約160億㌦と驚異的な伸びを示している。この成長を取り込むべくアマゾンはインドでの品ぞろえを16年9月時点で8000万点と2年前に比べ3倍強に拡大、マーケットプレイス型でも出品者を同期間で3倍の12万まで増やした。直近の決算発表会でブライアン・オルザブスキCFOは「インド市場で昨年(会員制の)プライムサービスを始めたことは大きなターニングポイントになった。出品者向けの物流施設も順次増強している」と説明している。

 アマゾンにはないアリババの強みは、先述のアント・フィナンシャルが手掛ける金融事業だ。主力の決済サービス「アリペイ」は4.5億人の年間利用者を擁し、アリババのEC事業と両輪で成長を遂げてきた。この金融事業のグローバル化が加速すれば、アマゾンを脅かす存在になることは間違いない。


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