私が住んでいる区は0歳児の待機児童が多く、両親がフルタイム勤務だとしても0歳から自治体の保育園に預けるのは狭き門となっています。一方、子どもが1歳になってから預けようとすると、子供の生まれ月によっては1年以上の育児休暇が必要になり、キャリアパスに響きます。学内保育園を利用できなかったら、両親のどちらかにしわ寄せが来ていたと思いますね。

 昨年の4、5月は新型コロナウイルス感染症の影響で学内保育園は閉鎖していました。私は東大に着任した直後でしたが、子どもが起きている間は全く仕事ができず、保護者が働き続けるために保育園がいかに重要なのかを再認識しました。「両親とも家にいるのだから子育てできるはず」という世間の風潮もつらかったです。6月頃から学内保育園が再開し、給食が出ないなどの制限はあったものの、やっと仕事に取り組めるようになりました。授業や研究はオンライン化されていましたが、子どもを本郷の保育園に預けるためにキャンパスへ毎日通うようになりました。現在も同じ生活を続けています。

 学内保育園自体には大変満足していますが、制度には多少利用のしづらさを感じています。自治体の保育園に申請し却下されなければ学内保育園を利用できないため、前年度に学内保育園を利用していたとしても次の年はどうなるか分かりません。保育園が変われば自分も子どもも生活スタイルを変えなければならないので、現在は「自治体の保育園に受かってしまったらどうしよう」という不安があります。現在私は、午後6時30分ごろには迎えに行く必要があるのですが、もう少し長い時間仕事に充てたいというのが本音です。研究と学生指導で長時間労働傾向な自分と、官僚という多忙な仕事の妻で子育てをする大変さを感じています。

編注:2021年6月現在、学内の4つの保育園には21時までの延長保育がある。

(文/東京大学新聞社・松崎文香)