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いよいよあす29日(土)からゴールデンウィークが始まります。今年も大勢の登山客が入山することが予想されますが、ゴールデンウィークは毎年山の事故が多発する期間でもあります。5月7日(日)にかけての天気傾向をおおまかに解説します。登山計画を立てる参考にしてください。

GW登山は天気を見極め条件のいい日を選択して

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今年は新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限がなく、山でもコロナ禍前と同じ水準の賑わいが戻ってきそうです。普段はなかなかできない長期山行を計画し、胸を高鳴らせている方も大勢いることでしょう。

そんな楽しみの中でも、やはり遭難事故には十分警戒してください。この時期の山は雪解けの進み具合が地域ごとに大きく異なるうえ、天候によっては真冬並みに気温が下がって新しく雪が積もることが十分考えられるため、登山難易度の振れ幅が大きくなる傾向があります。コース状況や天候を見誤ることで、思わぬ困難に遭遇しやすい季節だということを心にとめておきましょう。

実際にゴールデンウィークの期間は毎年遭難が多発しています。警視庁のまとめによると、昨年は4月29日~5月8日の間に155件180人が遭難し、10人が死亡。ヘリコプター出動は44回に上りました。これは比較的天候に恵まれた中での件数です。今年は昨年よりも気象条件が厳しい日が多い可能性があるため、天気のいい日を選んで入山することが重要です。

連休前半と5月初めの平日は春らしく天気周期変化

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5月3日(水)ごろまでは春らしく低気圧と高気圧が入れ替わりやってきて、メリハリのある天気変化をする見通しです。

週間天気図によると、まず29日(土)は沿海州を低気圧が発達しながら北上します。注目点は、この低気圧の中心気圧が29日午前9時には1000hPaだったものが30日午前9時には988hPaまで低下することです。雨や雪が降りだすのは昼以降の地域が多いものの、日本付近で気圧の傾きが大きくなるため山の上では雨が降りだすかなり前から強風が吹き荒れるでしょう。夜には風速30メートルを超える暴風が吹くところもありそうです。30日(日)は西から天気が回復しますが全国的に強風は残り、高山帯では0℃を下回る寒気が流れ込むでしょう。山域によってはなかなか雲が取れず、道迷いや低体温症のリスクが高い気象条件です。過去には似たような気圧配置で遭難が多発しているので、29日~30日の登山計画は慎重に検討してください。

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5月1日(月)になると低気圧や前線が離れますが、地上の低気圧から遅れて上空の寒気が流れ込んでくる予想です。北日本では寒気の影響を受けて引き続き雲が広がりやすい傾向でしょう。一方、東日本と西日本は晴れる地域が多くなりますが、地上気温は日射を受けて上昇するため、近畿、東海、北陸、関東の山を中心に天気マークには現れにくい局地的な雷雨が発生する可能性があります。雨具は必ず持ち、なるべく昼頃までに雷や強風を避けられる安全な場所に移動することをおすすめします。高山では雪で降り、新雪が積もってルートの状況が変わる可能性もあります。

2日(火)日中には寒気も次第に抜け、北日本ではやや風が強いものの、3日(水)にかけて全国的な登山日和となりそうです。1日(月)に積もる可能性のある新雪の状況には注意しましょう。

連休後半は前線停滞で思わぬ荒天のおそれも

週間天気図によると4日(木)以降は日本海に前線が停滞する予想です。現時点の予報では5日(金)、6日(土)、7日(日)も前線の影響を受ける可能性がありますが、時間が経つと予想結果が変わる状況で、まだ予報の信頼度は高くありません。これは停滞前線の緯度の高さを予想するのが比較的難しいためです。

ただ、停滞前線に向かって梅雨時のような非常に湿った空気が流れ込むため、この暖湿気がぶつかる山岳では南西斜面を中心に大雨となるおそれがあります。停滞する前線の位置により全く異なる天気の展開になる可能性はありますが、前線近傍では上空の風もかなり強く吹くため、前線が予想よりやや南北に離れていたとしても注意が必要です。

ゴールデンウィーク後半の登山計画は、来週前半に発表される天気予報を再度確認してから検討しなおすようにしてください。