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3月は記録的な高温になりました。この高温は、降水など天気現象が起こる対流圏だけでなく、その上の成層圏まで含めた現象が関係していたとみられます。

3月は記録的な高温

3月の上旬、中旬それぞれの平均気温は、平年より高くなった地方が多くなりました。

3月上旬の平均気温は、平年より、北海道地方は3.6℃、東北地方は3.7℃、関東甲信地方は3.7℃、北陸地方は3.3℃、東海地方は2.8℃、近畿は2.7℃、中国地方は2.7℃高くなり、いずれも統計開始の1946年以降、3月上旬の1位の値を更新しました。
北海道地方では、3月中旬の平均気温も、平年より3.1℃高く、統計開始以降、3月中旬の1位の値を更新しました。

3月下旬も、記録的な日最高気温を観測した所がありました。
札幌市は22日19.1℃、大阪市は同日22日25.2℃で、いずれも統計開始以降、3月の1位の値を更新しました(統計開始は札幌市1877年、大阪市1883年)。
東京都心では、24日25.0℃で、統計開始の1876年以降、3月の4位になりました。

大規模な成層圏突然昇温 3月の記録的な高温の一因

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冬の間、降水など天気現象が起こる対流圏を流れる偏西風が蛇行すると、対流圏の上の成層圏にエネルギーが伝わり、成層圏の風の流れを変えることがあります。成層圏で西風が遅くなったり、東風が吹いたりすると、成層圏の北極付近で気温が急に上昇します。成層圏突然昇温(Stratospheric Sudden Warming)と呼ばれる現象です。

上の図は、成層圏にあたる上空23000メートル付近の気温の変化です。先月1月26日頃、気温が突然上昇していることがわかります。
2月16日頃に、再び気温が急上昇しました。このとき、成層圏で吹いていた西風が、東風に変わり、大規模な成層圏突然昇温になりました。この大規模な成層圏突然昇温は、3月21日頃まで続きました。

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対流圏から伝わったエネルギーで、成層圏の気温が急に上昇する現象ですが、その発生から2週間から3週間ほどたつと、必ずしもそうではありませんが、今度は成層圏から対流圏にエネルギーが伝わり、対流圏の大気の流れに影響を及ぼすことがあります。

今回、成層圏からのエネルギーが、2月の終わりから3月初めをピークに、グリーンランド付近や北大西洋に伝わったとみられます。
上の図は、3月1日から10日の対流圏の真ん中にあたる大気の流れです。北大西洋では、青色のエリアで高度が低くなっています。ここから高度が低い青いエリアと、高度が高いオレンジ色のエリアが交互に並び、日本付近はオレンジ色の高度が高いエリアになりました。このような大気の流れがしばらく持続し、日本付近は暖かい空気に覆われやすい状態が続きました。3月の記録的な高温の一因です。

参照:Tokyo climate centerホームページ
https://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/clisys/STRAT/readme.html

4月は日本の東の高気圧の勢力が強く 高温傾向 雪どけによる災害に注意

成層圏突然昇温は収まりましたが、4月も高温傾向です。
4月は、日本の東で高気圧の勢力が強いでしょう。北日本を中心に暖かい空気に覆われやすい見込みです。
山間部や山沿いでは、まだ雪が残っていますので、雪崩に注意が必要です。急な斜面など危険な場所には近づかないでください。
この時期に、まとまった雨が降ると、積雪が大量にとけて河川の水位や水の流れる量が異常に増大することで、洪水が起こることがあります。この時期の河川は流れが速く、水も冷たいので、川遊びなどで不用意に川に近づくのは危険です。