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気象庁はきょう10日、「エルニーニョ監視速報」を発表。2021年秋から続いていたラニーニャ現象は終息したとみられます。今後、春は平常の状態が続く可能性が高く、夏はエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度です。

2月の実況

気象庁はきょう10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。

2 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は −0.1℃ で、基準値に近い値でした。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部から中部で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。

大気の状態にはラニーニャ現象の特徴が見られるものの、海洋の状態はラニーニャ現象の特徴が弱まってきており、2021 年秋から続いていたラニーニャ現象は終息したとみられます。

今後の見通し

実況で太平洋赤道域の西部から中部にみられる海洋表層の暖水が今後東進し、東部の海面水温を上昇させるとみられますが、その程度には不確実性があります。
大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、夏にかけて基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測しています。

以上のことから、今後、春は平常の状態が続く可能性が高く(70 %)、夏はエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度です(50 %)。

エルニーニョ現象とは?

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「エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。
(「エルニーニョ(El Nino)」とは、スペイン語でイエス・キリストという意味で、クリスマスのころに海面水温が高くなることから名づけられました。)

「エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冷夏や暖冬になりやすいと言われています。