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北陸地方の春の訪れは早いでしょう。積雪の多い地域では融雪による土砂災害や浸水害・雪崩に注意して下さい。また、春の5Kにも気を配りながら体調管理を万全にしてお過ごし下さい。

気象台発表の最新の3か月予報

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2/21、新潟地方気象台より、北陸西部の福井・石川・富山と北陸東部の新潟の4県を対象とした「北陸地方の向こう3か月の天候の見通し」が発表されました。

そのポイントは、「寒気の影響を受けにくいため、向こう3か月の平均気温は高い」ということです。

気象庁は、12月から2月までの期間を冬、3月~5月までの期間を春と定義しています。3月以降は、天気は数日の周期で変わる見込みです。この先も短期的な「寒の戻り」はありますが、季節は概ね順調に進むでしょう。本格的な春の訪れは早くなる可能性があります。

春の5K ①「強風」 春は思いのほか風が強い

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春は穏やかなイメージとは裏腹に、風は案外強く吹くことが多くなっています。福井・金沢・富山・新潟の4地点に関して、毎正時の観測データから風速8m/s以上を観測した回数を月別に集計してみました。

対象の年は、北陸地方への台風の接近(台風の中心が新潟、富山、石川、福井のいずれかの気象官署等から300km以内に入った場合)がゼロとなった2020年としました。

その結果、4県の合計では3月が最も多く136回となりました。以下多い順に2月、4月となり、この時期は平均的に風が強く吹いていることが分かります。

春の5K ②「乾燥」 春は最も乾燥しやすく火災発生件数は多い傾向

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北陸4市の「日最小相対湿度」の観測史上最も低いランキングをみると、福井・金沢・富山・新潟の4市全てで、トップ10は3月~5月の春の期間に観測されています(図は上位3位の抜粋)。中でも、福井はトップ10全ての湿度が10%未満となった他、金沢は2005年4月6日に日最小相対湿度が4%という記録を観測しています。

次に、北陸4県の月別火災発生件数(令和2年)を見ると、
4県合計では、5月や3月などの春の期間が多い傾向となっています。春は暖房の使用頻度は次第に少なくなりますが、空気の乾燥や強風が火災発生件数を多くする一因になっていると考えられ、この時期は火の取り扱いに最も注意が必要な時期と言えそうです。

春の5K ③「気温差(寒暖差)」が1年の中で最も大きい

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北陸地方では、「平均気温の月変化」は春や秋が大きく、「1日の最高気温と最低気温の気温差」は春が一番大きくなっています。

次に上の図の実況値で見ましょう。
新潟の同一日の最高気温と最低気温の気温差が10度以上の日数を、2022年までの過去5年について調べました。この結果、春(3~5月)の期間が最多で177日、次いで秋(9~11月)の期間が102日の順となっており、やはり、春の時期は朝晩と日中との気温差など最も大きい時期と言えそうです。

次に、富山の最高気温の前日差が10度以上の日数も2022年までの過去5年について調べました。
この結果、前述の同一日の最高気温と最低気温の気温差の日数のオーダーよりは小さくなっていましたが、季節別比率を見ると、春の期間が66.7%、次いで秋の期間が16.7%となっており、こちらでも春の気温差が大きくなっていました。

このように、春は1年で最も気温差(寒暖差)が大きく現れる時期となっています。更に、気圧配置によっては、最高気温や最低気温の出現時間帯は、必ずしも日中や夜間に限らないケースもあります。天気予報では1時間毎の時系列天気や予想気温グラフ等もチェックしながら、服装選びをするのが良さそうです。

春の5K ④「花粉」「花粉の飛散開始日」の発表前でも飛散しているケースも

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北陸地方でも、まもなく本格的な花粉シーズン到来となるでしょう。
「花粉の飛散開始日」は、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を、2日連続して観測した最初の日として定義付けられています。

具体例を上の図でご覧頂くと、観測開始から丁度9日目が「花粉の飛散開始日」ということになります。シーズン始めは花粉の飛散量が少ない上に、天気にも左右されて、観測される花粉の量が不安定となります。仮に1日おきに花粉が観測される状態が長引いたりすると、「花粉の飛散開始日」の認定はなかなかされませんが、現実には既に飛散が始まっていることも想定されます。花粉症は症状がひどくなる前に対策をとることが大切です。症状があらわれた場合には、早めに専門医に相談するようにしてください。

花粉シーズンは、「ヒノキ花粉」を含めれば4月頃まで続くと予想されます。花粉症の方は外出の際は花粉情報なども参考になさって下さい。

春の5K ⑤「黄砂」 地方気象台での目視観測終了により実況が分かりにくいケースも

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黄砂は、4月を中心とした春に最も飛来しやすく、低濃度であれば自動車や洗濯物に汚れが付着する程度にとどまります。ただ、ごくまれに高濃度のまま飛来すると、視程の悪化により大きな交通障害をもたらすことがあります。更に、人が黄砂を吸い込むと、花粉症の症状が悪化したり、呼吸器疾患をおこすことがあるなど、人の健康面にも悪影響を及ぼす可能性があることも指摘されています。

その一方、気象庁では観測項目の合理化を進めており、「黄砂」の目視観測は、北陸地方では、福井・金沢・富山の3地方気象台では原則既に廃止され、現在は新潟地方気象台のみで行っています。

ただ、黄砂は、往々にして西から(大陸方面)から飛来してきます。新潟地方気象台で飛来が観測された時点では、北陸西部の福井・石川・富山でも既に飛来していることが多くありそうです。

現在、黄砂の目視観測が公に行われているのは、那覇・鹿児島・福岡・高松・広島・大阪・名古屋・新潟・東京・仙台・札幌の11か所となっています。

この春も、大規模な黄砂の飛来などが予想される場合或いは実況で観測されている場合には、臨時情報が発表されることはありそうですが、低濃度で飛来している場合、実況が分かりにくい可能性があります。天気は西から変わり、黄砂も西から飛来することが多くなっています。黄砂の飛来予想は行われておりますが、実況に関しては北陸地方の西側の最も近隣に位置する、大阪管区気象台などから発表される情報などにも注目してみるのは良さそうです。