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気象庁はきょう9日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。昨年秋から続いているラニーニャ現象は今後、終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が80%です。最新の3か月予報(11月22日発表)によると、日本では12月から2月にかけて、気温は全国的に平年並みか低い予想です。

11月の実況

気象庁はきょう9日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。

それによりますと、11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.9℃で、10月と同じでした。ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の9月の値は-0.7℃で、13か月連続して-0.5℃以下となりました(ラニーニャ現象の基準は6か月以上)。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部から中部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、昨年秋からラニーニャ現象が続いています。

今後の見通し

大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬のはじめは基準値より低く、その後、西部から中部の暖水の東進に伴い上昇に転じ、冬の終わりには基準値に近い値になると予測しています。以上のことから、今後、ラニーニャ現象は終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高い(80%)です。

ラニーニャ現象とは

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「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。

日本への影響は?

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過去の統計によりますと、冬(12月~2月)は、ラニーニャ現象発生時の平均気温が東日本や西日本、沖縄・奄美で「低い」出現率が46%となっています。

最新の3か月予報(11月22日発表)でも、12月から2月にかけて、気温は全国的に平年並みか低い予想です。また、日本海側は大雪の恐れがあります。ただ、ラニーニャが終息に向かうため、今後の予報傾向にも変化が出てくることが考えられます。毎週木曜日には1か月予報が、今月20日には3か月予報が発表されますので、最新の予報をご確認ください。